2010 Fiscal Year Annual Research Report
発生・分化システムの時系列遺伝子発現の安定状態(アトラクター)の同定と遷移解析
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22700311
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
荻島 創一 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教 (40447496)
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Keywords | 発生・分化 / システム生物 / 時系列遺伝子発現 / アトラクター |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、iPS細胞等の分化過程や癌細胞の悪性化等の発生・分化および疾患進行の過程について、個々の転写調節ネットワークの理解のみならず、システムズワイドな横断的な理解のために、細胞の遺伝子発現の安定状熊(アトラクター)の遷移として大局的に捉える新しい方法論を構築するというものである。本年度は研究実施計画に基づき、以下のような成果を得た。細胞の遺伝子発現の安定状態(アトラクター)の同定方法の開発を行った。1.遺伝子セット発現量の定式化:申請者が開発した遺伝子セット最大トレンド解析法により、遺伝子セット発現量を定式化した。遺伝子セットの遺伝子数の自由度に依存しない量とするため、自由度により正規化を行い、遺伝子セット間で比較可能な絶対量とした。2.遺伝子セット発現量空間の定義:発生・分化のプロセスであるiPS細胞等の分化および上皮間葉転換の時系列の遺伝子発現データを用いて、上で定式化した遺伝子セット発現量を計算した。3.安定状態(アトラクター)の同定:まずは、通常の遺伝子発現量空間において主成分分析を行い、細胞の遺伝子発現の安定状態(アトラクター)を推定した。次に、2で定義した遺伝子セット発現量空間での解析も行った。これまでに文献に報告されている知見と照らし合わせることで、開発した方法の正当性の検証を行った。上皮間葉転換は癌の転移・浸潤に関わるプロセスであり、疾患進行のアトラクターの同足と遷移解析としても興味深いものである。上皮間葉転換のアトラクターとその遷移解析のため、より精度の高い遺伝子発現データ等を得るため、次世代シークエンサーを用いた時系列の網羅的な遺伝子発現解析等の共同研究を開始し、そのための実験準備を進めた。
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Research Products
(5 results)