2011 Fiscal Year Annual Research Report
分子進化的観点に基づいた天然変性タンパク質の解析及び分類法の開発
Project/Area Number |
22700318
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
廣瀬 修一 独立行政法人産業技術総合研究所, 生命情報工学研究センター, 協力研究員 (60549898)
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Keywords | 天然変性タンパク質 / 分子進化 / バイオインフォマティクス / 進化系統樹 |
Research Abstract |
本研究は、生理条件下で特定の立体構造が欠如している天然変性タンパク質に存在する特徴を見出すことを目的としている。これまでに、天然変性タンパク質に見られる配列的特徴に関する報告は多数存在する一方で、配列の保存性に関しては多くの議論されていない。そこで本研究では、分子進化的観点に注目し、天然変性タンパク質が進化上どのような変遷を経てきたのかを解析し、これらの情報に基づきタンパク質を分類を試みた。 本年度は、データセット作成において、昨年度の手法から2点変更を加えた。1つ目は、昨年度の成果から天然変性タンパク質のオーソログ配列が真核生物のみに分布する例が多いことが明らかとなったため、代表生物に真核生物を新たに7種加えた。2つ目は、より質の高い天然変性タンパク質データを作成するために、天然変性領域データベースであるDisProt(http://www.disprot.org)から天然変性領域割合が80%以上の配列を選択し、その後配列冗長性を取り除いたものをデータセットとして作成した。 まず、昨年度と同様に、SSU-rRNA系統解析により代表生物の進化系統樹を作成した。次に、各天然変性タンパク質に対して、進化系統樹上にオーソログ配列および天然変性領域予測プログラム(POODLE-L,IUPed.DisProt)から得られた天然変性領域の割合をプロットし、オーソログ配列の分布および天然変性領域割合の変化を解析した。 解析の結果、2つの新規な知見が得られた。1つは、多くの天然変性タンパク質は真核生物の初期段階およびカンブリア爆発の時期にその起源があることが示唆された。2つめは、天然変性領域の割合が、複数の生物界にオーソログが存在している配列では変化が観測されないが、真核生物のみにオーソログが存在する一部の配列では、その割合が変化する例が見つかった。さらに、1つの例において、天然変性領域割合の変化は、タンパク質の機能変化と関連していることが明らかとなった。 また、進化系統樹上でのオーソログ配列の分布、天然変性領域割合の変化の2つの観点から、天然変性タンパク質データセットを分類することができた。これより、天然変性タンパク質が分類が可能であることが示唆された。
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Research Products
(2 results)