2011 Fiscal Year Annual Research Report
神経活動データを用いた神経回路の推定と回路構造の解析
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22700321
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
野村 真樹 独立行政法人理化学研究所, 細胞システムモデル化研究チーム, 研究員 (90552688)
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Keywords | 錐体細胞 / 抑制性シナプス / 数理モデル / シミュレーション |
Research Abstract |
大脳皮質5層の錐体細胞のモデル化を行った。モデルの構築は電子顕微鏡を用いた計測によって得られた詳細な形態データに基づいて行っている。構築したモデルの複数の地点に抑制性シナプス電流を注入して一過性の過分極を引き起こしそれが細胞体へ伝達する過程を計算機シミュレーションで観察した。観察の結果、棘突起、樹状突起、細胞体それぞれで抑制性シナプス電流は固有の機能を持っている事が分かった。本研究では神経細胞の形態とシナプス電流伝達効率の関連性を調べており、神経細胞の発達不全に伴う神経性疾患の解明などに向けた基礎研究となっている。神経細胞の樹状突起を流れる電流の伝達様式は電気生理学実験で調べるのは非常に困難であるため、本研究の様な数理モデルを用いたアプローチが必要である。本研究では錐体細胞の受動的な性質のみをモデルに取り入れてその特徴を調べているが、神経細胞固有の能動的な機能を調べるためには、能動的なイオンチャンネルを導入したモデルの構築が不可欠である。そのため、今後は能動的なイオンチャンネルを導入した神経細胞モデルの構築を視野に入れて研究を進める予定である。本科研費での研究目的は、神経活動の時系列データを用いた神経回路網の推定である。今回行った研究では単一神経細胞のモデル化を行っているが、ここで得られた知見は神経回路網の推定を行うためのモデル構築に必要であり、交付申請書の研究実施計画にも記載している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
論文投稿に向けてデータが着実に集まっている。
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Strategy for Future Research Activity |
単一神経細胞のモデル化に基づいた神経回路構築のためのモデル作りへ移行していきたい。
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Research Products
(1 results)