2011 Fiscal Year Annual Research Report
樹状突起特異的な小胞輸送に関与するRabタンパク質の解析
Project/Area Number |
22700324
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
森 靖典 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 助教 (80443042)
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Keywords | 神経 / 樹状突起 / 極性 / 小胞輸送 / Rab |
Research Abstract |
我々の脳が高次機能を発揮するためには、神経細胞同士のネットワークの形成や情報交換が極めて重要である。これらのプロセスには様々な膜(小胞)輸送過程(例えば神経伝達物質の放出やその受容体の機能部位への輸送)が関与すると考えられているが、中枢神経系特異的な膜輸送制御の分子基盤は未だ未解明の部分が多い。そこで本研究では、膜輸送を司る低分子量Gタンパク質Rabファミリー(60種類)に焦点を当て、中枢神経系特異的な膜輸送制御の分子メカニズムの解明を目指し実験を行った。 本研究では、神経軸索(すなわち前シナプス)もしくは樹状突起(すなわち後シナプス)で機能するRabアイソフォームを選別するため、海馬神経初代培養細胞に緑色蛍光タンパク質(GFP)タグがついたRabファミリータンパク質(GFP-Rab)を一過性に発現させ、その局在を分類した。その結果、41種類のRabタンパク質の中でただ1つ樹状突起にのみ局在するRabタンパク質であるRab17を同定することに成功した。このRab17に関して詳細な解析を行ったところ、(1)Rab17は樹状突起にのみ特異的に局在する(軸索には局在しない)唯一のRabファミリータンパク質であること、(2)Rab17は主にリサイクリングエンドソームに局在すること、(3)樹状突起の形態形成過程(本数および長さ)に関与するが軸索の形態形成には影響を与えないこと、および(4)ポストシナプスの形成過程に関与している結果が得られた。 以上これらの結果から、Rab17は神経細胞の樹状突起特異的な形態形成において必須の役割を果たしている分子であることを明らかにした。
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Research Products
(5 results)