2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22700326
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
金子 涼輔 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (40390695)
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Keywords | 神経発生 / 多様性 / 神経回路 / バスケット細胞 / プロトカドヘリン / GABAニューロン / 小脳 / 遺伝子改変マウス |
Research Abstract |
ニューロンは適切なパートナーを識別して結合するが、その分子メカニズムには不明な点が多い。本研究では、プロトカドヘリン(Pcdh)分子群に着目し、神経結合における個々のニューロン識別メカニズムを明らかにする。具体的には、「同一のPcdhを発現するニューロン同士が神経結合する」との仮説を証明する。そのため以下の2点を明らかにする。(i)Pcdh欠損により神経結合が異常になるか?(ii)神経結合するニューロン間におけるPcdh発現は同一か? 今年度は上記(i)(ii)を検討するための研究材料の開発に成功した。まず、昨年度に作製した以下2系統のマウスを交配し、二重Tgマウスを作製した。 [1系統目]バスケット細胞特異的なCreER発現マウス(Galnt14-CreERマウス) [2系統目]Cre依存的な蛍光タンパク質発現マウス(VGAT-stop-tdTomatoマウス) 次いで、本2重Tgマウスを用いて、単一バスケット細胞を標識可能な条件検討を行った。その結果、胎生19.5日目の母マウス腹腔内へのタモキシフェン(Cre活性誘導試薬)投与が最適なことを見出した。本条件を用いて、単一バスケット細胞がプルキンエ細胞と結合する様子が観察できた。 さらに、今年度はPcdh欠損マウスの作製の交配と繁殖を進めた。この過程において、Pcdh-a&b二重欠損マウスが運動障害様の行動異常を示すことを見出した。これは仮説「同一のPcdhを発現するニューロン同士が神経結合する」を支持する結果である。 以上の成果によって、これまで不明な点が多かった、神経結合における個々のニューロン識別へのPcdhの関与が示唆された。今後は得られた遺伝子改変マウスを交配し、仮説「同一のPcdhを発現するニューロン同士が神経結合する」を実証する。
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