2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22700332
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
井上 蘭 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学), 助教 (70401817)
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Keywords | D-セリン / セリンラセマーゼ / NMDA受容体 / てんかん |
Research Abstract |
本年度では、PTZ誘発痙攣発作前後の細胞外グルタミン酸およびD-セリンの濃度変化を明らかにするため、50mg/kgPTZ投与後の神経細胞の活性化レベルが一番高い領域である海馬歯状回にカニューレを留置し、Microdialysis行った。その結果、WTマウスではPTZ投与後に細胞外グルタミン酸濃度が上昇するのに対し、SR-KOマウスではPTZ投与後の細胞外グルタミン酸濃度の増加が認められなかった。細胞外D-セリンの濃度に関しては、WTおよびSR-KOマウス両方ともPTZ投与後に減少する傾向が認められたが、両群の間に有意差はなかった。SR-KOマウスのPTZ誘発痙攣に対する感受性をさらに詳しく検討するため、65mg/kgおよび35mg/kgPTZの投与実験を行った。その結果、65mg/kgPTZ投与群では46%のWTマウスで全般性tonic-clonic痙攣発作が観察されたが、SR-KOマウスでは全般性tonic-clonic痙攣発作が認められなかった。この結果に一致して、SR-KOマウスでは65mg/kgPTZ投与2時間後の大脳皮質、海馬CA1、CA3ならびに扁桃体におけるc-fos(神経活動の興奮レベルの指標)発現細胞がWTマウスに比べ有意に減少した。一方35mg/kgPTZ投与群では、PTZ投与後の痙攣発作の程度ならびにc-fos発現において、野生型(WT)とSR-KOマウスの間で統計学的有意差が認められなかった。これらの結果から、SR-KOマウスでは高濃度PTZ投与により誘発される全般性tonic-clonic痙攣など重症の痙攣に対する感受性が低下することが明らかになった。今後SRやD-セリンをターゲットとする新規治療薬の開発が重症の痙攣発作の治療に役立つと考えられる。
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Research Products
(3 results)