2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22700335
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安部 健太郎 京都大学, 生命科学研究科, 助教 (70462653)
|
Keywords | 鳴禽類 / 音声認識 / モデル生物 / 行動解析 / 転写因子 / 音声識別 |
Research Abstract |
本研究では鳴禽類をモデル動物として用い、鳴禽類が音素のシーケンスの違いを検出してコミュニケーションに使用されるさえずり(「歌」)を高度に識別することができることを示し、その基本的情報処理メカニズム、および、神経メカニズムを明らかにすることを計画した。また、生後の幼少期に接する環境がその後の音声識別能力に及ぼす影響の詳細を解析し、音声シーケンス識別能力の生後発達のメカニズムを明らかにすることも計画した。これらの研究結果より、「言語」などの高度な音声情報処理を可能にする生物学的な基盤の理解を深めることを目的とした。本研究期間に於いては研究代表者により開発された鳴禽類の定量的行動解析実験系を用い、ジュウシマツ(Lonchura striata var.domestica)に対し様々に音素の並びを改変した音声シーケンスを聞かせ、識別の可否を体系的に検討した。この結果、ジュウシマツの「歌」の音声シーケンスには規則性が存在し、「歌」を受容する受け手が他個体と共通した識別を示すことが明らかとなった。また、生後に接触する音声情報を制限した個体を育成し、それら個体の音声識別能力を調べることにより、これらの識別能力の発達には後天的に他個体とのコミュニケーションをとることが必要かつ十分であることを示した。また、音声シーケンス構造規則エラーをもつ音声シーケンスを聞かせた時に活動化する脳内神経領域・回路の詳細を神経活動依存的な遺伝子の発現を指標に同定した。また、同定した神経核・領域の破壊により、神経活動を人為的に操作した際に音声シーケンス識別能力が障害されることを明らかにした。これらの成果は鳴禽類において音声情報を理解・識別する能力とその生後発達のメカニズムを明らかにした。これらの情報はヒトが音声情報を生成・理解する能力など、生後に接する環境や他個体とのコミュニケーションによって後天的に獲得される能力の情報処理メカニズムや発達メカニズムの理解に貢献することが期待される。
|
Research Products
(6 results)