2010 Fiscal Year Annual Research Report
マーモセット脳内におけるドーパミン受容体の分布:PETによる定量評価
Project/Area Number |
22700340
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
辻本 悟史 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (20539241)
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Keywords | 霊長類 / ドーパミン / 受容体 / PET / マーモセット / サル / 分子イメージング |
Research Abstract |
本研究の目的は、マーモセット脳内ドーパミン受容体の分布をPETにより定量評価し、基礎データを収集することにある。そのために、初年度である22年度には、ドーパミンD1およびD2受容体の放射性リガンドを使い、それぞれの受容体の分布・密度を定量評価する方法を確立することを目指した。これまでに、生後1.5歳以上のコモンマーモセット(Callithlix jacchus)8頭を対象に、PETによるスキャンを行った。PETスキャンは、Siemens社製の動物用高解像度PET装置(microPET Focus 220)を使用して行った。D1受容体の放射性リガンドには[^<11>C]SCH23390を用い、D2受容体には[^<11>C]FLB457と[^<11>C]Racloprideを使用した。さらに、8頭のうち7頭は、MRIによって脳の構造画像も収集した。残る1頭のMRIも近目中に撮像する予定である。詳しい定量的解析はこれからとなるが、今年度の成果によって、マーモセットを用いてドーパミン受容体の分布を調べるための、基礎的な方法は確立されたといえる。 今年度に確立した技術を用いて、来年度に本格的な定量化を行い、他の霊長類からのデータと比較するなど、より包括的な研究へと展開していく計画である。霊長類ではドーパミンとその受容体は、認知・行動の諸過程に重要な役割を果たしており、そのシステムの異常は、精神・神経疾患や発達障害と深く関連している。本研究の成果は、高次脳機能の統合的理解や精神・神経疾患のメカニズムの解明、ひいては、治療や予防につながるものと期待される。
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