2011 Fiscal Year Annual Research Report
マウス嗅覚系におけるCO2センサー細胞の発達と機能の分子機構
Project/Area Number |
22700341
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
高橋 弘雄 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (20390685)
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Keywords | 嗅細胞 / CO_2 |
Research Abstract |
マウスはその鋭敏な嗅覚により、大気中のCO_2濃度の微妙な変化を感知して、忌避的に行動することが知られている。マウスの嗅上皮には、CO_2に反応する嗅細胞のサブタイプ(Car2細胞と略称)が存在し、センサーである炭酸脱水酵素Car2と独自のcGMPシグナル経路を持つことがこれまでに報告されている。私達の昨年度の本研究により、マウス嗅上皮には既知のCO_2応答細胞であるCar2細胞以外に、複数種類の新規CO_2応答細胞の存在が明らかとなった。そこで本年度は、マウスの嗅上皮に存在するこれら複数種類のCO_2応答細胞について、CO_2やそれ以外の匂い物質に対する反応性の差異や、CO_2センサーの実体について研究を行った。 その結果、Car2陰性のCO_2応答細胞は、直接CO_2に反応するタイプと、CO_2濃度の上昇に伴うpH変化に反応するタイプに分けられることが明らかとなった。さらに、新規のCO_2応答細胞の半分は、炭酸脱水酵素阻害剤によりCO_2への応答が阻害され、Car2以外の炭酸脱水酵素をCO_2センサーとして持つことが予想された。また、cAMPシグナル経路で働くアデニル酸シクラーゼの活性化剤であるフォルスコリンで処理すると、Car2陰性のCO_2応答細胞の活性化が見られた。Car2細胞はcGMPシグナル経路を持つことが知られているが、私達が見出した新規のCO_2応答細胞はCar2細胞とは異なり、cAMPのシグナル経路を持つことが明らかとなった。 以上の研究から、マウスは嗅上皮に複数種類のCO_2応答細胞を持ち、それらを組み合わせることにより、CO_2濃度やその原因となる周囲の状況を判断している可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)