2011 Fiscal Year Annual Research Report
器官培養を用いた神経幹細胞の形態学的プロファイリングによる遺伝子発現解析
Project/Area Number |
22700345
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
落合 和 星薬科大学, 薬学部, 講師 (40381008)
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Keywords | 器官培養 / 神経幹細胞 / 形態学的 / プロファイリング / ニューロン / 細胞周期 / 神経発生 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
神経幹細胞が最も盛んに分裂をしている時期である妊娠12日目の神経幹細胞を蛍光タンパク質(GFPの発現ベクター)ラベリングし、妊娠13日目に胎児の大脳を器官培養し神経幹細胞の挙動を経時的に観察し数時間おきに解析を行った。同時に、BrdUやその類縁化合物であるEdUを器官培養系に添加し、分裂細胞のマーキングを行った。また、レベルした様々な形態をとっている神経幹細胞及びニューロンと考えられる器官培養物の切片を作製し、一般的な細胞周期マーカーKi-67、BrdU、EdU、geminine、cdt1に対する抗体で染色することにより、神経幹細胞との関係を調べた。また、細胞周期蛍光プローブFucciの2種類を発生過程の神経幹細胞に導入することによって、神経幹細胞の細胞周期を可視化した。発生過程の大脳サンプルから、RNAおよび組織切片を作製し、上記のマーカーで染色を行い細胞周期と神経幹細胞との関連性を解析した。また、RT-PCRにより、発生段階にある脳の様々な遺伝子発現を解析した。 近年、大脳皮質の発生は血管にそってニューロンへと分化し配置されることから、血管内皮細胞のマーカーPECAM-1あるいはアストロサイトマーカーGFAPと染色を行った。その結果、血管内皮細胞と細胞周期との直接的な関連性を見出せなかった。 神経幹細胞は分散培養を用いた系では、本来持っている性質である細胞周期依存的な細胞核の運動であるエレベーター運動と呼ばれる動きをとることはない。しかしながら、器官培養系を用いた3次元培養では、分裂や分化に際して、生体内にほぼ近い挙動を示す。これまでの研究で幾つかの形態学的特徴を示す神経幹細胞と細胞周期あるいは遺伝子発現との関連性を解析した。このことは様々な形態をとる神経幹細胞の性質の一端を知ることができたものと考える。
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