2011 Fiscal Year Annual Research Report
マウス遺伝学と電気穿孔法の融合による大脳皮質バレル野形成機構の解明
Project/Area Number |
22700347
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
水野 秀信 国立遺伝学研究所, 個体遺伝研究系, 助教 (00567159)
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Keywords | 遺伝学 / 神経科学 / バレル皮質 / 電気穿孔法 / in vivoイメージング / 2光子顕微鏡 / NMDA受容体 / ノックアウト |
Research Abstract |
発達期の大脳皮質では、多種多数の神経細胞間で複雑な神経回路が形成されるが、回路形成においてin vivoで個々の神経細胞がどのように挙動するか、どのような分子メカニズムが関与するかは不明な点が多い。本研究は、マウス大脳バレル皮質の形成過程をモデルとし、所属研究室保有の遺伝子組換マウスと、申請者の持つ遺伝子導入技術(子宮内電気穿孔法)を組み合わせ、さらに二光子観察系を立ち上げることで、大脳皮質神経回路のin vivoでの継時的な形成過程と、回路形成の分子・細胞メカニズムを明らかにすることを目的としている。本年度は以下の研究を行った。(1)子宮内電気穿孔法により蛍光蛋白質を導入すると、多数の神経細胞が標識されるため、個々の細胞の形態解析は困難である。平成22年度までの研究で、Cre-loxPシステムを改良することにより、個々のバレル皮質神経細胞(バレル細胞)を蛍光蛋白質で高輝度に標識する方法を確立している。この方法でNMDA受容体(神経回路発達・記憶・学習に関与するグルタミン酸受容体)の必須サブユニットであるNR1を欠損しているバレル細胞を標識した。固定標本の解析により、生後4~5日齢においてNMDA受容体依存的な樹状突起の精緻化が始まることを、新たに見出した。(2)平成22年度までに、可視化された単一バレル細胞をin vivo二光子観察する手法を確立している。本年度は、バレル細胞をin vivo二光子タイムラプス観察した。現在、バレル細胞の経時的発達過程における新たな知見が得られつつある。以上の通り、本研究により、発達期の大脳皮質神経回路形成過程のメカニズムの解明が進んだ。
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Research Products
(3 results)