2011 Fiscal Year Annual Research Report
神経成長円錐ガイダンスを制御するエンドサイトーシス経路
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22700353
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
戸島 拓郎 独立行政法人理化学研究所, 神経成長機構研究チーム, 研究員 (00373332)
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Keywords | 神経成長円錐 / 軸索ガイダンス / エンドサイトーシス / クラスリン / CaMキナーゼII / Cdk5 |
Research Abstract |
神経回路形成過程の神経軸索先端部に現れる成長円錐は、細胞外環境に呈示される多彩な軸索ガイダンス因子の濃度勾配を感知し、それに応じて自身の運動性を変化させることで軸索を正しい標的まで牽引する。軸索ガイダンス因子は誘引因子と反発因子に大別されるが、どちらの場合も因子を受容した側に発生する局所Ca^<2+>シグナルが旋回誘発の十分条件である。申請者らは過去の研究により、誘引を引き起こすCa^<2+>シグナル(誘引性Ca^<2+>シグナル)と、反発を引き起こすCa^<2+>シグナル(反発性Ca^<2+>シグナル)の性質の違いを明らかにし、さらにCa^<2+>下流のメカニズムとして、誘引性旋回が成長円錐片側でのエキソサイトーシス促進によって、反発性旋回がクラスリン依存性エンドサイトーシス促進によって駆動されることを明らかにした。これらの結果に基づいて本課題では、Ca^<2+>シグナルからエンドサイトーシス制御に至るまでのシグナル経路を解明することを目的とした研究を行った。 昨年度は、ケージドCa^<2+>光解離法によって誘発された誘引性Ca^<2+>シグナル下流には、CaMキナーゼIIおよびCdk5を介してエンドサイトーシスを抑制する経路(交差抑制経路)が存在することを示した。これに引き続き本年度は、生理的なガイダンス因子であるミエリン結合糖蛋白質(MAG)の濃度勾配に対する成長円錐旋回運動に対して同様の解析を行った。MAG濃度勾配は成長円錐を誘引したが、これはCaMキナーゼIIまたはCdk5の阻害剤によって抑制された。一方、培養液中にcAMPアンタゴニストを投与すると、MAG濃度勾配に対する成長円錐の応答は反発に変わったが、この反発にはCaMキナーゼII阻害剤またはCdk5阻害剤の効果は無かった。これらの結果から、生理的因子の下流においてもCaMキナーゼIIおよびCdk5が交差抑制経路に関わることが強く示唆された。
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Research Products
(5 results)