2010 Fiscal Year Annual Research Report
光活性化蛋白質を用いたRhoファミリーG蛋白質によるシナプス構造可塑性制御の研究
Project/Area Number |
22700359
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
実吉 岳郎 独立行政法人理化学研究所, シナプス機能研究チーム, 研究員 (00556201)
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Keywords | スパイン / アクチン細胞骨格 |
Research Abstract |
記憶学習の基盤のひとつであるシナプス構造可塑性の分子メカニズムを明らかにするため、RhoファミリーGTPase経路の関与に焦点を絞り市販の薬理阻害剤を用いて検討した。海馬切片培養での興奮性神経細胞の樹状突起スパインを二光子顕微鏡によるケージドグルタミン酸の光分解によりシナプス構造可塑性を誘導させた。Rho経路の下流タンパク質リン酸化酵素群は薬理学的阻害によりグルタミン酸受容体依存的なスパインの構造変化は顕著に阻害された。すなわちRho経路のシナプス構造可塑性への強い関与が示された。今後はシナプス構造可塑性発現と維持のどちらに関与しているのかを薬理阻害試薬を投与するタイミングをかえて検討し、サブタイプごとの特異性、共通性を見いだしたい。 スパイン構造可塑性発現時におけるRhoファミリー分子のシグナル活性可視化を目的として、二光子顕微鏡を用いたケージドグルタミン酸の光分解と同時使用できる蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を原理とした蛍光プローブの開発を行った。RacおよびPAKについて二光子顕微鏡での蛍光寿命測定法に使用可能な蛍光プローブの作成に成功した。来年度は単一スパインでのイメージングを行いたい。 また、シナプス可塑性に必須のタンパク質リン酸化酵素であるCaMKIIの新規基質同定法の開発を行った。CaMKII内での基質認識に影響しない触媒領域のアミノ酸を同定できた。このアミノ酸残基を非天然アミノ酸に置換したCaMKIIをほ乳類培養細胞系を用いた組換えタンパク質を作成したが、収量および非天然アミノ酸への置換効率が悪いため、発現系を昆虫細胞発現システムに切り替える予定である。
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