2010 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質浅層と深層における異なった情報処理様式の解明
Project/Area Number |
22700360
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
竹川 高志 独立行政法人理化学研究所, 脳回路機能理論研究チーム, 基礎科学特別研究員 (50415220)
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Keywords | 神経情報処理 / スパイクソーティング / 運動野 / 教師なし学習 / カーネル主成分分析 / 局所回路 / 6層構造 / 情報量解析 |
Research Abstract |
大脳皮質は特徴的な6層構造を持ち,各層ごとに入出力や層内部での活動が大きく異なっている.本研究は,運動野の浅層(2/3層)と深層(5層)に注目し,それぞれの層の集団発火時系列の特徴とそこから推測される情報表現の違いを明らかにすることを目的としている.そのために,詳細な解析を行うために必要な精度の集団発火時系列データを得ることを可能とする新たなスパイクソーティング手法を開発した.スパイクソーティングとは,多点電極による細胞外記録で得られる電極周辺に存在する多数の神経細胞のスパイクにより引き起こされる電極の変化を元に,記録された活動電位がどの神経細胞由来であるかを推測する手法である.開発した手法は多くの神経細胞従来の手法より遙かに低い誤り率で推測することを可能とした.これを適用することにより,右前肢を使って自発的なタイミングでレバーを押し保持し引くように訓練されたラットに対し、対応する脳部位から浅層と深層から同時に多点電極による細胞外記録を行ったデータから高精度な集団発火時系列を計算した.次に,集団発火時系列から時系列に含まれる中心的な情報を時系列のみから教師なしで取り出す手法を開発し,得られた集団発火時系列に適用した.その結果,深層では発火率が高く集団発火時系列から取り出された主要な情報はレバー運動と非常に相関が高いことが判明した.一方,浅層では発火率が低く深層やレバー運動よりも長時間スケールの情報を主要な成分としており,レバー運動に関する情報は副次的な情報として表現されていた.
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