2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22700364
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹内 春樹 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特任助教 (70548859)
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Keywords | 神経回路形成 / 嗅覚 / 軸索投射 / 神経科学 / 神経活動 / 分子生物学 / 発生 / 嗅覚受容体 |
Research Abstract |
マウス嗅覚系では、個々の嗅細胞は多数存在する嗅覚受容体(odorant receptor:OR)遺伝子からたった一種類のみを発現し、同一のORを発現する嗅細胞は、発生の過程で互いにその軸索を収斂させ嗅球の特定の箇所に投射する。この過程において、発現するORが軸索投射における神経個性を担い、様々な軸索ガイダンス分子の発現を調節し軸索投射を制御することが明らかとなっている。本研究課題では発現するORがいかにして多種多様な軸索ガイダンス分子の発現制御を可能にしているのか、その発現パターンを産み出す分子機構の解明を目指した。 まず我々は、ORを含むGタンパク質共役型受容体がもつリガンドに依存しない基礎的な活性であるbasal activityに着目し、basal activityの度合いを変化させた変異型受容体を嗅細胞に発現させるトランスジェニックマウスを作製した。その結果、basal activityの強さが軸索ガイダンス分子の発現を制御することで、軸索の投射位置を決定していることを明らかにした。 次に、ORによって駆動される神経活動が軸索ガイダンス分子の発現量を規定しているというモデルのもとORの種類と嗅細胞において発生する自発的発火のパターンとの関係を細胞外記録法によって検出した。その結果、自発発火のスパイク間隔の頻度とORの種類との間に相関関係が存在することが判明した。神経活動を遮断すると軸索投射に影響が現れることから、ORの種類という情報が神経活動のパターンを介して軸索ガイダンス分子の発現量へと変換され投射が行われるというモデルが立てられた。
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Research Products
(1 results)