2011 Fiscal Year Annual Research Report
下丘大型抑制性細胞の神経回路に注目して聴覚情報の統合様式を形態学的に解明する
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22700365
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
伊藤 哲史 福井大学, 医学部, 助教 (90334812)
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Keywords | GABA / glutamate / 聴覚系 / 局所神経回路 |
Research Abstract |
1.下丘単一細胞の形態の再構築 Sindbis palGFPウイルスの下丘への微小注入により、3個の下丘興奮性ニューロンの標識に成功し、樹状突起や軸索の3次元再構築をおこない、下丘抑制性ニューロン細胞体への入力を解析した。興奮性細胞はトノトピー構造の基盤たるfibrodendritic laminaにそって軸索を走らせ、10個から30個の下丘抑制性ニューロン細胞体に終末を形成していた。 2.下丘抑制性細胞への入力の解析 聴覚系のさまざまな神経核にSindbis palGFPウイルスを注入し、単一軸索が作る下丘大型抑制性ニューロン細胞体上への終末の接触面積や、接触数を調べたところ、1本の軸索に由来する終末が1個の下丘抑制性ニューロン細胞体表面の2-7μm2を覆っていることがわかった。大型抑制性ニューロン細胞体の表面積はわかっており、この値から、大型抑制性ニューロン細胞体にはおよそ300個程度のニューロンからの入力を受けていることが概算された。 3.げっ歯類以外の哺乳類の下丘における分子発現 ニホンザルや、アブラコウモリの下丘におけるVGLUT1,2、GAD67の発現パターンを調べたところ、どの動物種でも同様に大型抑制性ニューロン細胞体周囲にVGLUT2陽性終末が密に取り囲んでいることが明らかとなった。 4.PV-Creマウスとレポーターウイルスによる下丘抑制性ニューロンの可視化 PV-CreマウスにAd|pG|pT,Ad|pT|pG,Ad||pG||,Ad||pT||ウイルスを注入したところ、Ad|pG|pTが特に逆行性標識を強く示すことが明らかとなった。これを利用しそ、内側膝状体にAd|pG|pTを注入し、下丘抑制性ニューロンを標識する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要で述べた結果1、2は計画当初は困難であると想定していたが、十分な解析を行うことができた。結果3、4についても予定通りの結果を得ているため、おおむね順調である、と判定した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度となるため、上記に挙げたような結果を総合して論文を執筆する。必要なデータはかなり集まっているが、執筆に伴い新たに実験を行う必要が出てきたとしても十分に実験を行う時間的余裕が残されている。
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Research Products
(4 results)