2010 Fiscal Year Annual Research Report
小脳失調マウスの遺伝子治療における開始時期に伴う治療効果と神経可塑性の検討
Project/Area Number |
22700374
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
飯塚 朗 群馬大学, 大学院・医学系研究科, グローバルCOE研究員 (10466683)
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Keywords | 遺伝子治療 / 神経可塑性 / 小脳発達 / 回路形成 / 小脳 / レンチウイルスベクター |
Research Abstract |
ウイルスベクターを用いた小脳への遺伝子治療は、遺伝性小脳変性症への治療法として期待されている。しかし、遺伝子治療による小脳の障害回復の可能な時期については、ほとんどわかっていない。本研究では先天性小脳失調マウスを用いて回復可能な時期を明らかにすることで、将来の小脳変性症の遺伝子治療における基礎的データを得ることを目的とする。 先天性小脳失調マウスstaggerer(スタゲラー)は、遺伝性脊髄小脳変性疾患1型に関連する転写因子Retinoid-related Orphan Receptor α(RORα)の変異により小脳プルキンエ細胞における特定の遺伝子発現異常と、それに起因したプルキンエ細胞をはじめとした小脳の発達障害が見られ、運動失調を示す。申請者は、スタゲラーマウスのプルキンエ細胞に野生型RORαを生後1,2,3週齢から発現させ、発現時期により障害回復に違いが生じるかを検討した。MSCVプロモーターにより野生型RORαを発現させるレンチウイルスベクターを生後1,2,3週齢のスタゲラーマウスの小脳に注入し、3週間後に運動テスト、電気生理、免疫組織染色による解析を行った。生後1週齢で注入した群は、運動障害と細胞の形態、シナプス応答が、対照群とくらべ有意に回復していた。このことから1週齢の小脳は、運動、細胞レベルで回復可能であることが示された。しかし2、3週齢群では回復は見られず、またRORαがプルキンエ細胞よりも小脳白質で多く発現し、RORαのプルキンエ細胞特異的な発現が低下していた。このことは、レンチウイルスを用いた実験系では、2週齢以降のスタゲラーマウスにおける障害回復が困難であることを示唆している。そこで申請者は、プルキンエ細胞への特異性や組み込み遺伝子の発現性が高い、アデノ随伴ウイルスにて実験を行うことを考え、すでに予備実験にて良好な結果を得ている。
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Research Products
(1 results)