2011 Fiscal Year Annual Research Report
ALS患者由来アストロサイトを用いた非自律性運動ニューロン変性の解明
Project/Area Number |
22700377
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北岡 志保 京都大学, iPS細胞研究所, 特定研究員 (00545246)
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Keywords | iPS細胞 / ALS / アストロサイト |
Research Abstract |
変異SOD1を発現するアストロサイトが運動ニューロン変性を誘導することがトランスジェニックマウスやES細胞を用いた研究で明らかにされている。しかしながら、SOD1変異を有する患者由来のアストロサイトについては運動ニューロン変性を誘導するかどうかは不明である。 そこで、当研究室で既存の方法を改変し、これまでの80日に比較して短期間でアストロサイトへ分化誘導する新たな方法を確立した。その後、SOD1変異を有する患者由来のiPS細胞からアストロサイトへの分化誘導を行った。アストロサイト特異的にtdTOMATOを発現するレンチウイルスを作製し、分化誘導で得られた細胞に感染した。その結果、約50日でtdTOMATO陽性でかつI型アストロサイトに類似した細胞を確認することができた。 変異SOD1を過剰発現するマウスおよびコントロールマウスから初代培養アストロサイトを単離し、マイクロアレイで遺伝子発現解析を行った。その結果、変異SOD1マウス由来アストロサイトで生理活性脂質の合成に関与する特定のプロスタグランジン合成酵素、シクロオキシゲナーゼの発現量が上昇していた。さらに定量的PCR法により、変異SOD1マウス由来アストロサイトで上記プロスタグランジン合成酵素の発現が有意に上昇していることを確認した。これらの結果から、上記プロスタグランジン合成酵素、シクロオキシゲナーゼによって産生される特定のプロスタグランジンの増加が予想された。そこで、アストロサイト培養上清中に含まれる各種プロスタノイドの定量を行ったが、測定系の問題で、上昇を予想したプロスタグランジンの定量には至らなかった。しかしながら、有意差はないものの、定量可能であったプロスタグランジンは変異SOD1マウス由来アストロサイトで高い傾向にあった。このことから、SOD1変異を有する患者由来のアストロサイトでも上記のプロスタグランジン合成酵素、シクロオキシゲナーゼ経路が活性化している可能性が示唆された。
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[Presentation] 変異SOD1を有するALS患者由来iPS細胞の樹立とアストロサイトへの分化2011
Author(s)
北岡志保, 井上治久、月田香代子, 高橋和利, 近藤孝之, 吉川勝宇, 山脇聖子, 内藤素子, 鈴木茂彦, 伊東秀文、和泉唯信, 梶龍兒, 宅間浩、玉岡晃、森田光哉, 中野今治, 川田明広, 中畑龍俊, 高橋良輔, 山中伸弥
Organizer
第34回日本神経科学大会
Place of Presentation
パシフィコ横浜(神奈川県)
Year and Date
2011-09-16
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[Presentation] 変異SOD1を有するALS患者由来iPS細胞の樹立とアストロサイトへの分化2011
Author(s)
北岡志保, 井上治久、月田香代子, 高橋和利, 近藤孝之, 吉川勝宇, 山脇聖子, 内藤素子, 鈴木茂彦, 伊東秀文、和泉唯信, 梶龍兒, 宅間浩、玉岡晃、森田光哉, 中野今治, 川田明広, 中畑龍俊, 高橋良輔, 山中伸弥
Organizer
第52回日本神経学会総会
Place of Presentation
名古屋国際会議場(愛知県)
Year and Date
2011-05-19
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