2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22700383
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
山下 万貴子 (財)東京都医学総合研究所, 東京都精神医学総合研究所, 研究員 (00380668)
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Keywords | TDP-43 / 神経変性疾患 |
Research Abstract |
<目的>TDP-43は筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic lateral sclerosis : ALS)および前頭側頭葉変性症(frontotemporal lobar degeneration with ubiquitinated inclusions : FTLD-U)などの神経変性疾患において出現するユビキチン陽性細胞内凝集体の主要構成成分として同定された。本研究では、TDP-43の部分欠損変異体を導入することにより培養細胞株内においてTDP-43凝集体を形成する細胞モデルを用いて、TDP-43凝集体形成と神経変性の関係について検討した。 <方法>ヒト神経細胞株SH-SY5Yに患者脳においてその蓄積が確認されているTDP-43のC末断片発現コンストラクトを導入し、細胞内においてTDP-43凝集体形成を誘導した。遺伝子導入から3日後の細胞において、BrdU取り込み能を測定することにより細胞増殖能を評価し、また共焦点レーザー生物顕微鏡にて凝集体と共局在する因子の検索を行った。 <結果・考察>BrdU取り込み能を測定した結果、TDP-43凝集体形成細胞ではBrdUの取り込みが完全に抑制されていた。また、これらの細胞では遺伝子の転写に関与するRNAポリメラーゼIIやその他いくつかの基本転写因子が凝集体中に巻き込まれている様子が観察され、さらに、患者脳においても同様の現象が観察された。このことより、TDP-43凝集体形成は細胞増殖の停止あるいは遺伝子転写の抑制を通じて、神経細胞の変性を引き起こしている可能性が示唆された。
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