2011 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞生存制御機構におけるバソプレッシン受容体機能の解明と神経保護療法への応用
Project/Area Number |
22700384
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Research Institution | 独立行政法人国立成育医療研究センター |
Principal Investigator |
中村 和昭 独立行政法人国立成育医療研究センター, 研究所・薬剤治療研究部, 室長 (80392356)
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Keywords | バソプレッシン / 神経細胞保護 / 海馬 / バソプレッシン受容体 / グリア細胞 |
Research Abstract |
本研究では、近年の研究から脳内において広範な機能を有していると推測されるバソプレッシン(AVP)に着目し、特にこれまで注目されてこなかった神経変性疾患におけるAVP受容体の役割を解明し、神経変性疾患に対するAVP作用に基づいた予防・治療法の開発に繋がる成果を上げることを目的とした。本研究目的の達成のため、野生型マウス、V1a受容体欠損マウス、V1b受容体欠損マウス及びV1a/V1b受容体二重欠損マウスを用いて各種神経変性疾患モデルを作成し、その病態を検討することにより、AVPの神経細胞死への関与の検討を試みた。カイニン酸誘導性の海馬変性モデルによる検討では、V1a受容体欠損マウスおよびV1b受容体欠損マウスでおいて、野生型マウスと比べカイニン酸によるてんかん発作症状の増悪が認められた。また、V1a受容体欠損マウスおよびV1b受容体欠損マウス間ではV1b受容体欠損マウスにおいてカイニン酸によるてんかん症状がより増悪した。この結果はこれまでに観察したAVPが海馬神経培養系におけるカイニン酸誘導性神経細胞死を抑制することと一致し、AVPがV1a受容体およびV1b受容体を介して神経細胞保護作用を持つことを示している。一方で、病理学的解析からカイニン酸による海馬神経細胞の脱落はV1b受容体欠損マウスに比べV1a受容体欠損マウスにおいて顕著であることが示された。これらの結果から、神経細胞保護におけるV1a受容体とV1b受容体の作用が異なることが示唆された。
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Research Products
(1 results)