2010 Fiscal Year Annual Research Report
成体の神経幹細胞からの神経新生を助ける栄養因子と神経疾患との関わり
Project/Area Number |
22700385
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
桑原 知子 独立行政法人産業技術総合研究所, 幹細胞工学研究センター, 研究員 (90358391)
|
Keywords | 神経新生 / うつ病 / 神経幹細胞 / 海馬 / 神経疾患 / ストレス |
Research Abstract |
成体」の脳内には、日々分裂し、神経新生を起こしている神経幹細胞が存在する。近年の研究から、「成体期」の神経新生は、発生段階の「胎生期」とは全く違った制御機構であることが徐々に明らかになってきた。成体の海馬で生じる神経新生現象は、記憶や学習機能、また鬱病やアルツハイマー等の神経疾患とも密接な関係がある。うつ病など個人の状態(慢性性ストレスや経験、環境)で病態が左右するような脳神経疾患と神経新生の分子メカニズムの相関を調べるため、健常体コントロールグループのラットと、鬱病モデルグループのラットの海馬から成体神経幹細胞を樹立した。in vitroで鬱病および神経疾患関連遺伝子の発現プロファイルを、Q-PCR解析により詳細に調べ、候補遺伝子の制御機構への関与解明に解析を進めた。発現量の増減が転写レベルで左右されているのか、エピジェネティックに制御されているのかも同時に調べるため、ゲノム上のL1配列近傍に存在する疾患関連候補遺伝子の制御領域(プロモーター)のクロマチン免疫沈降やメチル化状態の比較も行なった。また、うつ病ラット正常体ラット間の比較発現解析を、ラットの脳海馬のDentate Gyrus(DG)領域から樹立したプライマリー・アストロサイト細胞培養系に付いても同様におこなった。Wnt3発現上昇に伴って変動するシグナル下流因子を絞り込み、候補遺伝子のジグナル応答について、ノックダウン(レンチウイルスshRNA)および過剰発現(レンチウイルス発現系)を構築し、培養細胞系だけでなく、in vivoでの効果に付いても評価を行った。これらの研究成果を、学会発表や学術論文として投稿した(現存、in revisionのものが、11.研究発表以外に2件)。
|