2010 Fiscal Year Annual Research Report
グルタミン酸受容体(GluR)δ2を介したシナプス形成の分子機構の解明
Project/Area Number |
22700390
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
植村 健 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (00372368)
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Keywords | シナプス形成 / 小脳 / グルタミン酸受容体δ2 |
Research Abstract |
本研究課題は、脳高次機能を支える多彩な分子のダイナミックな活動を理解し、その分子基盤を解明することを目的としている。シナプス形成に関わる候補分子群は記憶・学習のみならず、多くの精神疾患との関わりが示唆されているが、中枢神経におけるシナプス形成の分子機構は不明な点が多い。GluRδ2がin vivoで小脳シナプス形成に重要な役割を担う分子であることに着目し、小脳シナプス形成の分子機構の解明を試みた。培養神経細胞を用いた実験で、GluRδ2のN末端細胞外領域(NTD)が直接シナプス前終末を分化誘導することから、GluRδ2のNTDに直接相互作用するシナプス前部の構成成分の同定を試みた。GluRδ2のNTDをコートした磁気ビーズを培養神経細胞に添加し、シナプス前終末を分化誘導させた。その後、クロスリンカーで処理し、磁気ビーズを回収することで結合蛋白質を単離し、質量分析法にて解析した。その結果、GluRδ2のNTDに分泌蛋白質Cbln1を介してβ-neurexinが結合することを見いだした。また、GluRδ2およびβ-neurexinは共にCbln1の受容体であることが明らかになった。Cbln1欠損マウス由来の小脳顆粒細胞では、野生型マウス由来の小脳顆粒細胞で見られるGluRδ2のシナプス前終末の分化誘導能が消失していた。また、小脳顆粒細胞においてneurexinをノックダウンするとGluRδ2のシナプス前終末の分化誘導能が抑制されていた。さらに、Cbln1のシナプス誘導活性にはGluRδ2とCbln1の結合およびneurexinとCbln1の結合が共に必要であることが明らかとなった。シナプス後部のGluRδ2が分泌蛋白Cbln1を介してシナプス前部のneurexinと結合することで3者複合体を形成し、シナプス形成を制御しているといった全く新しいシナプス形成の様式を見出した。
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[Presentation] Trans-synaptic interaction of glutamate receptor δ2 and neurexin through Cbln1 mediates cerebellar synapse formation2010
Author(s)
T.Uemura, SJ Lee, M.Yasumura, T.Takeuchi, T.Yoshida, M.Ra, R.Taguchi, K.Sakimura, M.Mishina
Organizer
40^<th> Annual Meeting of the Society for Neuroscience
Place of Presentation
San Diego Convention Center, San Diego, USA
Year and Date
2010-11-15
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