2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規NYAPファミリーによる神経細胞形態形成制御およびその生理的意義の解明
Project/Area Number |
22700391
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
横山 一剛 東京大学, 医科学研究所, 特任助教 (20431760)
|
Keywords | シグナル伝達 / 神経科学 |
Research Abstract |
本研究は、発生段階の神経細胞のみに特異的に発現するPl 3-kinase新規制御因子群NYAPファミリーの機能の全貌を解明することを目的としている。これまでの研究により、NYAPファミリーはPI3K活性化およびPI3K下流シグナルの規定という2つの分子機能を担うことを明らかにしてきた。その下流シグナルはWAVE1, ARHGAP26といった主にアクチン系細胞骨格の制御に関与するものであった。平成22年度の研究において、NYAPファミリー遺伝子三重欠損マウス由来の神経初代培養を用いた解析から、NYAPファミリーは神経細胞の神経突起の伸長を正に制御することが分かった。さらにContactin5-Fcタンパク質添加により神経突起の伸長が起こることが知られているが、NYAPファミリー三重欠損マウス由来の神経細胞においてはContactin5-Fcに対する応答性が完全に消失しており、NYAPファミリーが神経突起伸長応答に必須の細胞内因子であることを明らかにした。ここで、Contactin5-Fc刺激後のPI3K-Akt経路の活性化も完全に消失していた。 本年度はNYAPファミリー上流のみならず、NYAPファミリー下流のシグナル伝達についても解析した。NYAPファミリーと下流のWAVE複合体との結合部位を同定し、これがPI3K p85との結合部位とは重ならないこと、さらに、NYAPファミリー全長、あるいはPI3Kとのみ結合できるNYAPファミリー、WAVE複合体とのみ結合できるNYAPファミリーの欠失変異体を作成し、これらによるアクチンファイバーの動態への影響について解析したところ、PI3K p85およびWAVE複合体の両方と結合してはじめて、アクチンストレスファイバーの崩壊を引き起こすことができることが分かった。
|
Research Products
(5 results)