2010 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞に共通なGluN2BによるNMDA受容体活性調節機構の解明
Project/Area Number |
22700394
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
明石 馨 新潟大学, 脳研究所, 特任助教 (30374713)
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Keywords | 脳・神経 / 扁桃体 / 抑制性神経細胞 / NMDA受容体 |
Research Abstract |
本研究では、申請者が海馬CA3シナプスで見いだした『NMDA受容体活性にはGluN2Bが必須な分子である』ということが、性質の異なる抑制性神経細胞においても共通の機構であるのかを検証し、その共通の分子機構を明らかにすることが目的である。 そのために、抑制性神経細胞特異的にCreを発現するGAD67-Creマウスと、NMDA受容体GluN2Bサブユニットのfloxマウスとの交配を行い、抑制性神経細胞特異的GluN2B遺伝子欠損マウスを作製した。 このマウスを調べたところ、下肢反射異常が見られた。通常、マウスは尻尾を持ちぶら下げると下肢が開いた状態になるが、この抑制性神経細胞特異的GluN2B遺伝子欠損マウスでは、両手両足とも擦り合わせ、縮こまるような表現型を示す。このような下肢反射異常はfoot-clasping reflexと呼ばれ、神経機能異常マウスにしばしば見られる。このことから、このマウスでは反射経路における神経機能異常が示唆された。さらに形態学的に調べたところ、脳全体で抑制性神経細胞の分布も正常で、大きな形態変化は見られなかったが、唯一、小脳において登上線維終末の分布が比較的近位になっているということが分かった。 現在、本来の目的である扁桃体抑制性神経細胞におけるGluN2Bの役割を調べるため、恐怖条件付け学習実験を計画し、準備を進めているところである。この結果により、恐怖条件付け学習における扁桃体抑制性神経細胞のGluN2Bの寄与を明らかに出来るので、すでに報告のあるGluN2B全身ヘテロノックアウトマウスの扁桃体依存恐怖条件付け学習の結果だけでは明らかに出来なかった、扁桃体抑制性神経細胞の形成する回路レベルの理解に踏み込む事が出来ると期待している。
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