2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22700395
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村松 里衣子 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (90536880)
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Keywords | 軸策 / 血管 / 再生 / 多発性硬化症 / 接着因子 |
Research Abstract |
脳梗塞・脳虚血・脊髄損傷などの中枢神経疾患により、四肢麻痺など様々な神経機能の損失が生じる。この症状は、部分的ではあるが、時間経過にともない自然回復する。神経機能の再獲得には、損傷を受けた神経組織の再生が必須となるが、現時点で、神経組織の自発的な再生機構は解明されていない。これまでに研究代表者らは、損傷を受けた組織に形成する新生血管が神経組織の再生を促す可能性を示してきた。本年度は、血管と接触した神経細胞が突起伸長を促進すること、またその機序に関わる接着性因子の同定に成功した。 初代脳血管内皮細胞をコラーゲン上で培養し、血管様構造を構築した後、初代大脳皮質神経細胞を播種し、神経突起の伸長を観察した。その結果、血管と接触した神経突起は伸長が促進する様子が観察された。一方で、神経突起が血管方向へと積極的に伸長する様子は認められなかったことから、血管は神経突起の伸長方向制御には関わらずに、突起伸長促進効果のみを発揮することが示唆された。続いて、血管-神経の接触による神経突起の伸長作用を促す分子機構を解明するため、種々の接着性因子に共通するRGDモチーフの関与を検証した。RGDペプチド存在下で、血管と神経の共培養を行ったところ、血管による神経突起伸長効果は有意に減弱した。このことから、血管による神経突起伸長効果はRGDモチーフを介して生じることが示された。今後は、本現象に関連する因子の同定を行った後に、同定因子の発生・再生段階での神経回路形成への関与について検討を行う予定である。
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