2010 Fiscal Year Annual Research Report
活性酸素産生酵素の関わる精神障害ーその病態と標的分子の同定
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22700397
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
衣斐 督和 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (10336539)
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Keywords | 活性酸素種 / NADPHオキシダーゼ / 不安行動 / HPA axis |
Research Abstract |
拘束ストレス負荷による不安増強がNox1欠損マウス(Nox1^<-/Y>)で減弱したことを見いだしたので、NOX1による制御機構の解析を行った。まず脳におけるNox1 mRNA発現レベルを解析したところ、視床下部、海馬、扁桃体において発現の高い傾向が認められた。しかし、他のNOXアイソフォームであるNox2, Nox4 mRNAの発現は野生型(Nox1^<+/Y>)およびNox1^<-/Y>で同程度であることを確認した。拘束ストレス負荷により視床下部でROSの産生増加とc-fos、CRH、AVP mRNA発現上昇が認められたが、これらはNox1^<-/Y>において有意に抑制されていた。これらの結果はNOX1が視床下部で神経活動を制御する可能性が示唆された。先行研究において、視床下部の室傍核ニューロンの活性をKCC2が制御していること、KCC2はROSにより機能抑制が生じることが報告されている。そこでKCC2の機能制御にNOX1由来のROSが寄与するとの作業仮説を立て、以下に示す予備検討を行った。KCC2を過剰発現させたHEK293細胞に過酸化水素処置を行い、Cl^- indicatorのMQAEを用い、細胞内Cl^-変動を指標にKCC2の機能を解析した。その結果、過酸化水素処置ではKCC2の機能は亢進し、仮説とは反対の結果となった。来年度は視床下部ニューロン由来のGT1-7細胞を用いて、ROSによるKCC2の調節作用を、視床下部切片培養系を用いてNOX1によるCRH発現調節機構を解析する予定である。 さらに社会的敗北ストレス負荷により惹起されるうつ行動について解析を行った。本ストレス負荷によりNox1^<+/Y>において他のマウスとの接触が減少したこと、さらに副腎重量の増大が認められたが、Nox1^<-/Y>ではこれらの変化が抑制された。来年度はうつ行動におけるNOX1の制御機構についても解析する予定である。
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Research Products
(3 results)