2010 Fiscal Year Annual Research Report
IP3受容体疑似リガンド分子IRBITによるCaMKIIa活性制御機構の解明
Project/Area Number |
22700402
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
河合 克宏 独立行政法人理化学研究所, 発生神経生物研究チーム, 客員研究員 (00553653)
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Keywords | IRBIT / CaMKIIα / タンパク質相互作用 / カルシウム / リン酸化 |
Research Abstract |
IRBITによるCaMKIIα活性制御の分子機構およびその生理的意義を明らかにし、脳神経系におけるIRBITの役割を解明するため、大腸菌または昆虫細胞を用いてIRBITおよびCaMKIIαの精製タンパク質を調整し、放射性同位体を用いたin vitro kinase assayによりIRBITがCaMKIIαの活性に及ぼす効果を種々の条件で定量的に評価した。IRBIT,基質、カルモジュリン(CaM)およびATP濃度を変える事でIRBITの阻害様式について解析したところ、低濃度のIRBIT存在下において、IRBITはCaMに対し競合阻害様式を示し、基質、ATPに関しては非競合阻害様式であった。この事からIRBITはCaMと競合的にCaMKIIαに結合することで活性を抑える働きをしている事がわかった。この事はCaMKIIαの調節領域に結合したIRBITが過剰量のCa2+/CaMにより溶出されるという結合実験の結果ともよく一致した結果である。しかしながら、高濃度のIRBIT存在下では、IRBITはCaMに対し単純な競合阻害ではなく、複合阻害様式を示したことから、今後、高濃度のIRBIT存在下でのより詳細な解析が必要である。また、表面プラズモン共鳴を用いた定量的相互作用解析システムを用いてIRBITとCaMKIIαの結合を検出する事に成功し、見かけ上の結合強度を算出する事ができた。さらに、この結合がCa2+/CaMの添加により濃度依存的に阻害される事もわかった。今後はこれらの定量的評価系を用いることでIRBITによるCaMKIIα活性制御の分子機構をより詳細に解析する。さらに、IRBITを全身で欠損したIRBIT KOマウスの樹立も成功した事から、IRBITによるCaMKIIα活性制御が脳神経系に果たす役割を個体レベルで解析していく。
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Research Products
(2 results)