2010 Fiscal Year Annual Research Report
ALS病因タンパク質TDPー43と相互作用するタンパク質p47の病態への関与
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22700404
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
渡辺 祥司 独立行政法人理化学研究所, 運動ニューロン変性研究チーム, 研究員 (80462745)
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Keywords | ALS / TDP-43 / p47 / タンパク質局在化機構 / タンパク質安定性 |
Research Abstract |
本年度は、野生型TDP-43と家族性ALS患者由来の変異TDP-43との違いを検討するため、マウス神経芽細胞腫(Neuro 2A細胞)を用いた実験系で詳細に解析を行った。まず、野生型と変異TDP-43の局在と界面活性剤に対する可溶性を調べた。その結果、野生型と同様に、変異TDP-43は核に局在しており、ALS患者病巣で見られる細胞質での異常局在と凝集体の形成は見られなかった。一方、変異TDP-43において、イオン性界面活性剤であるSarcosy1に不溶性となる傾向が得られた。しかしながら、野生型の性質と比べ、それほど有意な差がないことから、変異の導入により不溶性が極端に高まる訳ではないと考えられた。次に、Neuro 2A細胞内で新規合成されたTDP-43の半減期を、メチオニンアナログAHA(L-azidohomoalanine)およびPEG-ビオチンを用いた実験系で測定した。その結果、変異TDP-43は野生型と比較して顕著に長い半減期を有していた。本年度に行った一連の解析により、TDP-43に変異が導入されると、局在や可溶性には影響を及ぼさないが、細胞内(核内)で野生型よりも安定に存在するということを明らかにすることができた。申請者が見いだしたTDP-43と相互作用するタンパク質p47は、野生型TDP-43とは強い相互作用を示すが、ALS患者由来の変異が導入されると相互作用が弱くなる。このことと本年度の研究で得られた結果より、p47はTDP-43の局在機構よりも細胞内での安定性に関与している可能性が高いと考えられる。p47に対するペプチド抗体の作製、およびRNAiにより効率良く発現を抑えられる配列の決定は、本年度完了している。これらのものを用いて、p47が変異TDP-43の安定性にどのように関与しているのかを明らかにし、病態への関与を明らかにすることを来年度の目標とする。
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