2011 Fiscal Year Annual Research Report
ALS病因タンパク質TDP-43と相互作用するタンパク質p47の病態への関与
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22700404
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
渡辺 祥司 独立行政法人理化学研究所, 運動ニューロン変性研究チーム, 研究員 (80462745)
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Keywords | ALS / TDP-43 / タンパク質の安定性 |
Research Abstract |
今年度の研究は、昨年度得られた結果に基づき、さらに詳細に解析することから開始した。 局在と凝集体形成能に関して、野生型と家族性ALS由来の変異TDP-43間で、有意な差は見られなかった。しかし、TDP-43タンパク質の半減期をパルス-チェイス法により決定したところ、興味深いことに、変異体の半減期が野生型よりも長く、変異体の半減期の長さがALSの発症年齢と負に相関していた。一方で、半減期と罹病期間には相関は見られなかった。つぎに、TDP-43の機能に着目し、exon-skipping活性およびmRNA制御活性をモニターできる実験系を構築し、野生型との活性の比較を行なった。その結果、exon-skipping活性は野生型と変異体での差は見られなかったが、全ての変異体でmRNAの制御活性に低下が見られた。 タンパク質の半減期が野生型と変異体で顕著な差が見られたことから、タンパク質の安定性を低分子化合物で制御できるタグをTDP-43に付加し、細胞内で安定化させることを試みた。その結果、TDP-43の安定化により、界面活性剤に対する溶解性の低下とmRNA制御活性の低下が見られた。また、安定化したTDP-43の蓄積により、細胞内のプロテアソーム活性の低下と、細胞死が認められた。TDP-43の安定化により惹起される生化学的異常は、ALS病巣におけるTDP-43の生化学的特性と一致する点が多く、TDP-43の安定化がALS発症の重要な要因であることを示唆していると考えられる。p47は野生型TDP-43とのみ結合し、変異TDP-43とは結合しない。このことから、p47はTDP-43の安定性に関与していると考えられる。 現在、一連の解析結果を論文として纏め、投稿準備中である。
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