2011 Fiscal Year Annual Research Report
ホスホリパーゼA_2によるAMPA受容体の動態制御機構の解明
Project/Area Number |
22700405
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Research Institution | 財団法人東京都医学総合研究所 |
Principal Investigator |
平林 哲也 財団法人東京都医学総合研究所, 生体分子先端研究分野, 主席研究員 (90345025)
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Keywords | 脂質 / 酵素 / 神経科学 |
Research Abstract |
小脳における運動学習と記憶の分子基盤とされる長期抑圧に重要なAMPA型グルタミン酸受容体GluR2の細胞内動態について、プルキンエ細胞に高発現して大きな細胞内Ca2+濃度上昇とMAPキナーゼを介したリン酸化シグナルにより活性化し、生体膜リン脂質からアラキドン酸を特異的に遊離させる細胞質型ホスホリパーゼA2α(CPLA2α)が重要であることを見出した。この酵素の作用によって生じたアラキドン酸がGluR2の細胞内リサイクリングを阻害し、分解経路へと切り替わることにより長期抑圧が持続される可能性を検証するために、前年度に引き続きケージド化合物を利用した細胞内アラキドン酸濃度の時空間制御と、エンドサイトーシスによる内在化後のGluR2の細胞内輸送経路と動態の可視化、の実現を中心として研究を進めた。まず、6-Bromo-7-hydroxycounmarin-4-ylmethyl基でアンケージングしたアラキドン酸に加えて、新たに3種類の新規ケージドアラキドン酸を用いて、紫外線レーザー照射による遊離アラキドン酸の局所生成をGFP融合ジアシルグリセロールγの細胞質から細胞膜への移行を指標として検討したところ、そのうちの1種が良好な結果を示すことが分かった。一方、GluR2の可視化については、蛍光安定性と蛍光強度を指標に検討した結果、シグナル配列とHaloTagをN末側に融合したGluR2が、細胞内動態をリァルタイム蛍光観察するのに適していることが分かった。この2つの実験系を組み合わせてアラキドン酸の局所生成がGluR2の細胞内動態に及ぼす役割を検討するとともに、cPLA2α欠損マウス小脳のリン脂質および遊離脂肪酸の組成変化を解析することで、脂質代謝を介したGluR2の細胞内動態の制御機構を明らかにすることができると考えている。
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Research Products
(4 results)