2011 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオミクス解析を用いた小脳発達制御因子Ptf1aの機能解析
Project/Area Number |
22700406
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Research Institution | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
Principal Investigator |
田谷 真一郎 国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所・病態生化学研究部, 室長 (60362232)
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Keywords | 小脳発達 / プロテオミクス / 転写因子 / 神経発生 |
Research Abstract |
中枢神経系には多種類の神経細胞が存在する。それぞれ異なる種類の神経細胞が複雑なネットワークを形成することで脳機能の基盤を作り出す。近年、マウス小脳をモデル系として、転写因子Atoh1を発現する領域が全種類の興奮性神経細胞を、転写因子Ptf1aを発現する領域が全種類の抑制性神経細胞を生み出すということが報告されている。神経細胞のサブタイプには大きく分けて興奮性と抑制性の神経細胞に分類できる。しかし、それぞれサブタイプの中のさらに異なる種類の神経細胞が産み出される分子機構は不明である。本研究は、転写因子Ptf1aの結合分子をプロテオーム解析により網羅的に同定することで、分子間相互作用の解析に重きを置き、研究を遂行する。最終的に、性質の異なる神経細胞を産み出す分子機構を解明することを目標にしている。これまでに、Ptf1a結合候補分子を542分子同定することに成功した。文献を利用して候補分子を8分子に絞り込み、Ptf1aとの結合様式を検討した。その結果、Ptf1aに直接結合する分子として6分子同定した。さらに、免疫染色やin situ hybridization法により分子の絞り込みを行った。その結果、複数の分子が抑制性神経細胞の中でもプルキンエ細胞の細胞系譜でのみ発現するということが明らかになった。また、Ptf1aノックアウトマウスでその発現が失われるということから、Ptf1a遺伝子の下流で働く分子でも同定することができた。平成23年度は、興奮性神経細胞の産生についても解析するためにAtoh1結合分子についても解析を行った。その結果、Atoh1ノックアウトマウスでその発現が失われる分子を同定できた。以上のことから、複数の分子がAtoh1/Ptf1aの下流で興奮性/抑制性神経細胞の形質獲得に関与している可能性が示唆された。
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