2011 Fiscal Year Annual Research Report
嗅球における抑制性ニューロンのサブタイプに基づいた情報処理機構の解析
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22700409
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
成塚 裕美 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特任研究員 (00511388)
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Keywords | 嗅球 / 顆粒細胞 / 樹状突起 / スパイン |
Research Abstract |
申請者は、齧歯類嗅球において、投射部位の異なる抑制性介在ニューロンのサブタイプの機能分化を明らかにする為に研究を行っている。 投射ニューロンの樹状突起に抑制をかけるdendritic-targeting顆粒細胞では、嗅覚遮断による形態変化が報告されている。このことから申請者は、匂い入力に応じた嗅球情報処理に、抑制性介在ニューロンがサブタイプ特異的に形態を可塑的に変化させることが重要であると予想している。そこで今年度は、嗅球におけるperisomatic-targeting顆粒細胞であるtype S cellが可視化されたマウスで、匂い入力を操作し、その形態を調べた。 生後1日目のマウスにおいて、麻酔下で片鼻の鼻腔焼灼を行い、生後8週齢の時点で、type S cellが投射ニューロンに形成するperisomatic contactを観察した。その結果、入力が遮断された嗅球では、遮断されていない嗅球に比べて、type S cellからのperisomatic contactは少なく、そのサイズも小さい傾向が見られた。 先行研究から、大脳新皮質の視覚野や聴覚野に存在するperisomatic-targeting抑制性介在ニューロンは、個体発生の特定の時期に入る末梢入力に依存して、投射ニューロンへのperisomatic inhibitorysy napseを形成することが知られている。特に、視覚野の臨界期の制御には、このperisomatic inhibitory synapseが重要な役割を果たすことが明らかになっている。一方、嗅覚系では、申請者が初めてperisomatic-targetingタイプの抑制性介在ニューロンを同定しており、本研究の成果は、嗅覚系においても、perisomatic targeting synapseが、末梢からの入力に依存して、特定の回路形成に重要な役割を持つ可能性を示唆している。
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