2011 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化窒素合成酵素発現ニューロンによる大脳皮質視覚野のシナプス可塑性制御機構
Project/Area Number |
22700412
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
遠藤 利朗 名古屋大学, 環境医学研究所, 准教授 (30353436)
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Keywords | 視覚野 / nNOS / NO / 長期増強 / 長期抑圧 / Substance P |
Research Abstract |
本研究の目標は、大脳皮質視覚野においてシナプス可塑性の起きやすさや変化の方向が制御される機構を理解することである。本計画では、そのような調節に重要と考えられている一酸化窒素(NO)による信号伝達に焦点をあて、神経型NO合成酵素(nNOS)発現ニューロンの性質とその役割について、マウス大脳皮質視覚野の急性スライス標本を用いて研究している。 前年度の研究で、マウス大脳皮質視覚野のnNOSニューロンについて、基本的な発火特性や、先行の免疫組織化学的研究によって示されていたP物質(substance P,SP)の受容体(NK1受容体)の発現を電気生理学的に確認し、SP投与に対しては陽イオンチャネルが活性化され脱分極性の応答を示し、活動電位が生成されることを明らかにした。平成23年度には、上の結果をさらに進めて、nNOSニューロンにおいてSPによって活性化されるイオンチャネルについて薬理学的に検討し、その電流はTRPCチャネルの阻害剤である2-APBによって抑制されるという結果を得た。また、SP刺激によってnNOSニューロンにおける細胞内Ca^<2+>濃度に変化が見られるかどうかをCa^<2+>感受性蛍光色素を用いたカルシウムイメージングによって検討した。その結果、SPによってnNOSニューロンにおいて細胞内Ca^<2+>濃度上昇が引き起こされることが明らかになった。この細胞内Ca^<2+>濃度上昇については、nNOSニューロンの発火状態にかかわらずNO放出を引き起こす可能性があるという意味で、重要な知見を得られたと考えている。 以上の成果は、nNOSニューロンのシナプス可塑性制御における役割を検討する基礎となる重要な成果であると考えている。
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