2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22700413
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福井 巌 京都大学, 医学研究科, 助教 (90362532)
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Keywords | 神経回路 / 音源定位 / 音源地図 |
Research Abstract |
音源地図形成には両耳間時間差(ITD)と両耳間音圧差(ILD)が重要な手がかりとなる。鳥類ではITDの検出は大細胞核(NM)が両側性に層状核(NL)へ投射することで形成され、ILDは角状核(NA)から外側毛帯核(LLd)への入力と、両側のLLd同士の相互抑制により形成される。ILD形成に重要な役割を果たすNMには上オリーブ核(SON)から抑制性の投射が有る事が知られているが、機能はまだあまり知られていない。本研究では脳幹レベルでの聴覚神経回路機能の詳細を調べる為、SONからNMへの抑制性投射の音情報処理に対する効果を麻酔下のニワトリを用いてin vivoで調べた。NMでの音に対する神経活動の応答を、SONの活動をTTXを用いて阻害した条件や、GABA受容体のアンタゴニストであるBicucullineをNMに投与してSONのNMでの影響を阻害した条件とで比較した。結果、SONからの入力がある時と比較してNMの神経細胞はより幅広い音周波数に対して応答するようになった。またSONが比較的幅広い周波数の音に対して応答を示す事、AMPA型Glu酸受容体の阻害剤であるDNQXをNMに添加し、聴神経線維からの入力を押えると周波数軸に対して広い抑制性の入力が観察された。これらの結果は、SOはNMよりも幅広い音周波数に対して応答し、NMにおいてSONの抑制により、音周波数に対する応答性を限局させる働きが有る事を示していた。このSONの抑制システムにより個々のNL神経細胞ではより特定の音周波数に対してのみITD計算が行うことが可能になり、音源地図の形成に重要な役割を果たしていると考えられる。
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