2011 Fiscal Year Annual Research Report
皮質視覚野損傷マウスの上丘における神経回路再編成機構
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22700419
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
金田 勝幸 北海道大学, 大学院・薬学研究院, 准教授 (30421366)
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Keywords | 上丘 / GABA作動性ニューロン / 局所神経回路 / 皮質視覚野損傷 / シナプス可塑性 |
Research Abstract |
前年度までの研究により、中脳上丘浅層ニューロンの周辺抑制の程度を細胞外記録により調べたところ、皮質視覚野損傷約1週間後のマウスにおいて、健常マウスに比較して大きな視覚刺激に対する応答が減弱していること、すなわち、周辺抑制が増強していること、また、この周辺抑制の増強は損傷から約1ヶ月後には部分的に回復することが分かった。この結果は、皮質視覚野損傷により上丘浅層ニューロンにおいて一過性に周辺抑制が増強されることを示している。そこで、本年度はこの一過性の周辺抑制増強のメカニズムを明らかにするため、スライス標本を用いたホールセル記録法により興奮性および抑制性シナプス入力の変化を調べた。その結果、皮質視覚野損傷約1週間後のスライスにおいて細胞種依存的な変化が観察された。すなわち、興奮性ニューロンにおいては視神経刺激により誘発されるEPSCに増大傾向が認められたが、同時にフィードフォワードIPSCは有意に増大していた。このため、興奮と抑制のバランスは抑制の方向にシフトしていた。一方、抑制性ニューロンにおいてはEPSCの有意な増大とIPSCの減少傾向が認められ、興奮-抑制のバランスは興奮の方向にシフトしていた。興奮-抑制バランスは細胞の発火活動の制御においてきわめて重要であることから、このようなシナプスレベルでの可塑的変化による興奮-抑制バランスの変化が、インビボマウス個体で観察された一過性の周辺抑制の増大メカニズムになっている可能性が考えられた。
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