2010 Fiscal Year Annual Research Report
可逆的神経伝達阻止法による小脳運動学習機構の解析と解明
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22700422
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Research Institution | Osaka Bioscience Institute |
Principal Investigator |
和田 教男 (財)大阪バイオサイエンス研究所, システムズ生物学部門, 研究員 (90525958)
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Keywords | 小脳 / 運動学習 / 眼球運動 / 小脳顆粒細胞 / プルキンエ細胞 / 前庭核 |
Research Abstract |
テトラサイクリン発現調節システムを用いることにより、小脳顆粒細胞からプルキンエ細胞への神経伝達を可逆的に阻害することが可能なRNBマウスを用いて、反射性眼球運動(OKR)を測定した。 まず、様々な速度・周波数のサイン刺激に対するOKRダイナミクスを測定したところ、非遮断・回復時においてはRNBマウスのOKRダイナミクスは野生型マウスと変化なかった。また、伝達遮断時においてもRNBマウスのOKRダイナミクスは野生型マウスと同様であった。これにより、OKRダイナミクスには小脳顆粒細胞からの神経伝達は必要ないことがわかった。 次に、1時間のOKR刺激に対する適応変化を調べたところ、遮断時のRNBマウスは適応が変化しなかった。1時間の刺激後すぐに暗室内で飼育しながら連日測定することにより5日間のOKR適応変化を調べたところ、RNBマウスは5日間の長期OKR適応変化は誘導されなかった。その後、14日間暗室内で飼育しながら神経伝達を回復させた後に再度適応変化を測定すると、野生型マウスと同様に高い適応を示した。以上より顆粒細胞からの神経伝達は適応変化の表出に重要であると考えられる。 今度は、まず遮断前に5日間の長期OKR適応変化を誘導し、その後暗室内で14日間飼育しながら神経伝達を遮断した後に再び適応を測定した。その結果、RNBマウスの適応は神経伝達が遮断しているにもかかわらず、野生型マウスと同様に高い適応を示した。このことから、5日間の長期学習により前庭核でも可塑性が誘導され、その可塑性が誘導されると、OKRの適応変化には顆粒細胞からの神経伝達は必要ないことがわかった。
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