2011 Fiscal Year Annual Research Report
可逆的神経伝達阻止法による小脳運動学習機構の解析と解明
Project/Area Number |
22700422
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Research Institution | 公益財団法人大阪バイオサイエンス研究所 |
Principal Investigator |
和田 教男 財団法人 大阪バイオサイエンス研究所, システムズ生物学部門, 研究員 (90525958)
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Keywords | 小脳 / 運動学習 / 眼球運動 / 小脳顆粒細胞 / プルキンエ細胞 / 前庭核 |
Research Abstract |
RNBマウスのOKR適応変化学習は、小脳顆粒細胞からの神経伝達を遮断する前に一度誘導されると、遮断後にも維持・表出されることがわかっていた。そこで、このOKR適応変化が高いRNBマウスのプルキンエ細胞の活動を覚醒状態においてin vivo細胞外電気記録により測定したところ、小脳顆粒細胞からの神経伝達を示す単純スパイクのみが消失していており、小脳顆粒細胞からの神経伝達が遮断されていることが確かめられた。よって、小脳皮質とその投射先である前庭核において一度可塑性が誘導されると、OKR適応変化には小脳顆粒細胞からの神経伝達は必要ないことがわかった。 次に、神経伝達遮断中のRNBマウスにおいて、小脳皮質を単純スパイクの様に電気刺激することによりOKR適応変化学習が誘導されないか検討した。まず、野生型マウスを用いて水平眼球運動を担っている小脳皮質領域、小脳片葉HゾーンのOKR中のプルキン工細胞からin vivo細胞外電気記録によって単純スパイクの発火パターンを計測し、RNBマウスに与える電気刺激のひな形とした。次に神経伝達遮断中において、OKR学習前のRNBマウスの小脳片葉Hゾーンに電極を埋め込み、スクリーン刺激と同時に電極から電気刺激を行った。5日間電気刺激付きOKR学習刺激を行うと、RNBマウスの適応は野生型マウスと同様に変化していった。しかしながら、OKR学習刺激によって野生型マウスは様々な周波数のOKRダイナミクスも変化したのに対し、電気刺激付きOKR学習刺激を行ったRNBマウスは、OKRダイナミクスは変化しなかった。これは電気アシスト刺激は完全なOKR適応変化学習を引き起こすことはできないことを示している。
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