2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22700424
|
Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
南本 敬史 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, チームリーダー (50506813)
|
Keywords | 動機付け / 報酬 / 意思決定 / 脳 |
Research Abstract |
大脳基底核の線条体の神経細胞が報酬価値に相関した活動を示すことが知られている。しかし、この活動が内部状態などを反映した主観的価値を表現するかが明らかではない。本研究はサルに一定の行動を複数の報酬条件で行わせ、その行動によって動物の主観的な報酬価値が推定可能であるという画期的な行動課題を用い、線条体から神経活動を記録し、その価値表現様式を明らかにすることを目的とした。報酬量と報酬遅延の2つのパラメータを手がかり刺激で教示し、以前の研究(南本ら 2009)をもとに行動の実行拒否率が、報酬量と遅延ならびに獲得報酬量から説明することが可能であり、報酬の主観的価値が推定できた。この行動課題を遂行中の2頭のサルの尾状核より単一神経細胞活動を記録した(n=99)。手がかり刺激の後,多くの尾状核の細胞が活動を増大させ、その約20%の活動が行動から推定された主観的価値と有意な相関関係を示した。この神経活動による主観価値の情報は行動の開始時点まで保持されていた。一方、これらの活動は報酬獲得にともなう価値の減衰(devaluation)に影響を受けなかった。したがって、尾状核の特定の神経細胞は、報酬の量とタイミングが予測できる刺激が呈示されると、遅延報酬割引による価値の情報をコードするが、喉の渇きなど内部状態を反映したコーディングでないことが明らかとなった。これらの線条体での価値コーディングは、報酬獲得行動の適切な動機づけよりむしろ、価値による適切な行動の学習/選択などに関わることが示唆された。
|