2011 Fiscal Year Annual Research Report
脳磁図を用いた体性感覚及び聴覚の変化検出機構の解明
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22700438
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
山代 幸哉 新潟医療福祉大学, 助教 (20570782)
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Keywords | 感覚記憶 / 変化検出 / 体性感覚 / 聴覚 / 脳磁図 / 脳波 |
Research Abstract |
申請者は,変化検出機構が「文字通りの変化のみならず突然の刺激の呈示や刺激の終了も,無意識のうちに変化として検出し,その後の適切な行動までの過程を強化する」との仮説を立てた。本仮説の検証を目的とする。当該年度までに、体性感覚及び聴覚領域において刺激から100ミリ秒付近の活動が変化検出を反映する神経活動であることを明らかにした。当該年度は、体性感覚において時間的に連続する刺激がどのように体性感覚野で統合され、処理されているのかについて検討した。聴覚や視覚領域では150~200ミリ秒の間に呈示された連続する情報(刺激)を処理する時間統合窓という神経基盤が存在することが知られている。しかしながら、体性感覚領域においてその存在について明らかにした研究は存在しない。そこで、本研究は異なる4種類の刺激間間隔時間(Inter-stimulus intervals ; ISIs)のトレイン電気刺激のOffsetを用い、体性感覚野の時間統合窓の長さとその責任部位について脳磁図を用いて検討した。その結果、刺激のOffSetから約100ミリ秒後にM100が誘発され、その責任部位は第一次体性感覚野(Primary somatosensory cortex ; SI)と第二次体性感覚野(Secondary somatosensory cortex ; SII)であった。また、この反応はISIが50ミリ秒を超えると顕著に減衰し、100ミリ秒で完全に消失した。このことから、SIおよびSIIが体性感覚モダリティの時間統合機能に関与し、時間統合窓の長さは50~75ミリ秒の間にあることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は、体性感覚及び聴覚において誘発される後期活動の意義を解明することを目的とした。昨年度までに、体性感覚及び聴覚において誘発される後期活動が変化検出を反映することを明らかにした。また、聴覚においては変化検出機構が感覚記憶に基づくことも証明できた。このことから、当初の計画以上に研究は進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、体性感覚領域において刺激の種類の変化、場所の変化、強度変化に対する反応の違いについても検討を行いたい。場所の識別に後頭頂葉が関与することが知られており、後頭頂葉と場所の変化検出とのかかわりについて検討する。
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