2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒストン修飾因子変異マウスが不妊症を呈するメカニズムの解析
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22700451
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
成瀬 智恵 金沢大学, 学際科学実験センター, 助教 (30372486)
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Keywords | 発生・分化 / 生殖細胞 / 始原生殖細胞 / ヒストン修飾 / 遺伝子改変動物 |
Research Abstract |
(1)HP1γ変異マウスの始原生殖細胞(PGC)の解析 HP1γはメチル化ピストン(H3K9me)に結合するエピジェネティック制御因子の一つである。これまでの研究からHP1γ変異PGCの数が減少していることがわかっていたが、22年度はHP1γ変異マウスにおいてPGCの数が少ない原因がPGCの増殖異常であることを明らかにした。フローサイトメトリーおよび免疫染色の結果から、HP1γ変異PGCはG1期に集積しており、S期への移行が抑制されていることがわかった。また、これまでの研究はPGCの数が多いE11.5-12.5の胚を使っての実験だったが、さらに発生段階を遡っていったところ、PGCが出現した直後のE7.0ではHP1γ変異PGCの数は野生型と変わらないものの、E7.25で既に減少が認められた。また、E7.25のHP1γ変異PGCでもBrdUの取込みが低下していることから、PGCの運命決定においてHP1γは必須ではないが、かなり初期の段階から増殖に必須であることがわかった。HP1γはPGCでもPGCを取り囲む体細胞でも発現しているので、PGC自体の異常で細胞周期の進行が遅延していることを確認するため、PGCのin vitro培養を行ったところ、体細胞を含まない系でもHP1γ変異PGCの増殖が低下していることを明らかにした。 (2)ヒストン脱メチル化酵素の欠損マウスの作製 2つのヒストン脱メチル化酵素遺伝子について単純ノックアウトマウスの作製を試みた。一方は単純ノックアウトでは出生直後致死であり、骨格形成に異常があることがわかった。遺伝子発現パターンを解析した結果、骨格形成、形態形成に必須な遺伝子群の制御に異常があることが明らかになった。また、もう一方は、現在、loxマウスを作製している段階である。
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