2011 Fiscal Year Annual Research Report
不妊疾患マウスとiPS細胞を用いた治療モデルの開発
Project/Area Number |
22700454
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
磯谷 綾子 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (20444523)
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Keywords | 生殖細胞 / 不妊 / 疾患モデル / iPS細胞 |
Research Abstract |
これまでに、何らかの理由で生殖細胞がなくなってしまった不妊疾患患者に対する治療法は全く存在していない。そこで、本研究では、性染色体異常により生殖細胞が消失するクラインフェルター症候群モデルのXXY型マウスより、人口多能性幹細胞(iPS細胞)を樹立し、疾患の要因を取り除いた後、生殖細胞へと分化させる試みを行い、治療方法がなかった生殖細胞のない不妊疾患に対する治療モデルの開発を目的とした。 本研究では外来遺伝子のないiPS細胞を得ることが重要なポイントとなる。そこで、平成23年度は、平成22年度にXXY型のマウス胎生繊維芽細胞(MEF)からpiggyBacシステムを用いて、樹立したiPS様細胞から導入したiPS細胞誘導遺伝子(Oct-4,Sox2,Klf4,Myc,LINE)を抜き取る試みを行った。しかし、残念ながら、iPS細胞誘導遺伝子が完全になくなったiPS細胞を得ることはできなかった。この結果は、複数の箇所に挿入されたiPS細胞誘導遺伝子はpiggyBacにより染色体から切り出されるが、piggyBacは切り出すだけでなく、染色体に挿入させる活性もあるので、別の箇所に挿入してしまったのではないかと予測された。このことは、多コピー数の遺伝子が導入されなければiPS細胞は樹立されにくいことを示唆し、外来遺伝子を持たないiPS細胞の樹立の難しさを示した。 一方で、精子をGFPで標識されたトランスジェニックラットのES細胞を樹立して、マウスの胚盤胞に打込んで異種キメラを作製することにより、ラット精子の形態を示す精子が、ラットのセルトリ細胞に支持されてできたマウスのゲノムをもつ精子ではなく、ラットES細胞に由来するものであることを確認した。この結果は、異種動物を用いた遺伝子組換え動物の作製や、不妊治療モデルの可能性を示唆した。
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[Journal Article] A homozygous mutant embryonic stem cell bank applicable for phenotype-driven genetic screening2011
Author(s)
Horie, K., Kokubu, C., Yoshida, J., Akagi, K., Isotani, A., Oshitani, A., Yusa, K., Ikeda, R., Huang, Y., Bradley, A., and Takeda, J.
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Journal Title
Nat Methods
Volume: 8
Pages: 1071-1077
DOI
Peer Reviewed
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