2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22700460
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
東濃 篤徳 京都大学, 霊長類研究所, 特定研究員 (30470199)
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Keywords | カルレティキュリン / ストレスタンパク質 / 遺伝子発現 / マカクサル |
Research Abstract |
カルレティキュリン(Crt)は分子量約55kDaのタンパク質であり,細胞内小器官である小胞体に常駐し,新生タンパク質に対して糖鎖の付加やトリミングをすることが知られている分子シャペロンの一種である.その細胞外での機能はまだ完全には明らかにされていないが,様々な疾患で血中濃度の変動が報告されているため,細胞外での機能解明は重要であると考えられる. 平成22年度は大腸菌組換タンパク質発現系を用いてリコンビナントCrtを精製し,ELISA系を構築した.また血中CrtおよびCrt自己抗体をカニクイザル幼齢群,若齢群,老齢群から得た93サンプルで調査した.Crt自己抗体は加齢に伴う増加を示したが,Crtの増減は加齢とは関係がない傾向が見られた.そこでカニクイザルリンパ球中における制御性T細胞の関与する免疫寛容系の加齢による変化をフローサイトメトリーによって解析し,細胞抗原マーカーであるFOXP3,FOXP3/CD25,CD25/CD4の発現が若齢サル血球に比べて老齢ザル血球で減少していることを明らかにした. 今年度は更にCrtの細胞外での機能について遺伝子発現を指標として解析した.カニクイザル白血球は,リポ多糖(LPS)を添加したRPMI-1640培地によって培養された.SOLiD-4systemを用いてCrt存在下,非存在下の各細胞の遺伝子発現について解析した.解析された約30,000の遺伝子のうち,およそ18,000の遺伝子についての発現量はthe reads per kilobase of exon length per million mapped reads (RPKM)値によって比較された.この中で発現量の高かった約7,700の遺伝子について,さらにpathway解析を行った. Crt存在下,非存在下の各細胞で発現量が高かった上位20の遺伝子は90%が一致しており,それらは免疫反応関連の遺伝子であった.LPSで刺激されたカニクイザル白血球細胞においてCrtによって発現量が増加した遺伝子は細胞骨格再構築(Cytoskeleton remodeling TGF),免疫(CD40, IL-15 signaling)および細胞接着(Cell adhesion Chemokines)に関与する遺伝子群であった.これらのpathway解析における危険率は<7.5e-16であり,その発現量の向上にCrtが有意に作用していることが考えられた.
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Research Products
(2 results)