2011 Fiscal Year Annual Research Report
専門医の治療戦略を考慮した知的な適応予測制御による薬剤投与支援システムの開発
Project/Area Number |
22700466
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
柏原 考爾 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (40463202)
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Keywords | 生物・生体工学 / 制御工学 / ユーザインタフェース / 認知科学 |
Research Abstract |
全国の医療機関における麻酔医不足が深刻な社会問題となっている。そのため、本研究では、生命維持に最も重要な薬剤投与中の血圧調節(バイタル管理)に焦点を絞り、麻酔医不足や地域や研修医でも、専門医の治療戦略を実現できる知的な治療支援システムの研究開発を進めてきた。 これまで、薬剤投与中にミスが起こり易い状況を調査し、支援システムの操作者が初心者である場合を想定しで、薬剤応答ダイナミクスの学習過程や突発的な状況変化に対する対処法を検討してきた。本年度では、それらめ成果をさらに発展させ、初心者と専門医における突発的な事態への対処法、薬物動態に対する学習過程や意思決定過程の違いを検討してきた。また、薬剤投与中の治療戦略の違いにも着目して実験を行ってきた。最終年度では、複雑な薬物動態を理解する上での認知思考過程や判断ミスが起こり易い状況での対処策を集約させ、シミュレータに反映させていく。 また、専門医の治療戦略における共通点をシステムに実装しながら、初心者にも操作が可能なエキスパート技術を活かした治療支援システムの構築方法を検討してきた。特に、心筋梗塞による複雑な応答特性、複数の治療薬を使用した場合の相互干渉性を考慮し、予期せぬ突発的な出血に対して注意喚起を促すシミュレータを試作した。今後、構築してきたシミュレータをさらに改善し、研修医等の初心者が犯しやすいミスを未然に防ぐために有用となるユーザ・インタフェースを構築していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成22年度、平成23年度の研究実施計画に従い、ユーザ・インタフェースの観点から、薬剤投与支援システムにおける認知心理実験・シミュレータの研究開発に関して重要な研究成果を得られている。研究成果は、適宜、原著論文・国際会議等を通じて、国内外に公表している。
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Strategy for Future Research Activity |
認知心理実験に関する実験計画・統計解析・実験用ソフトウェアの作成手法に加えて、これまで構築してきた知的な適応予測制御システムや試作シミュレータを活用していくことで、最終年度の研究計画を効率良く実施していく。また、前年度まで治療支援用ソフトウェアで用いてきた生体応答モデルを基盤として活用し、より良いユーザ・インタフェースの構築を実現するために、修得してきた制御工学技術を応用していく。安定かつ俊敏に、最適な血行動態を維持できる専門医の治療戦略を診断データベースとして集約し、人工知能を活用して治療支援システムに反映させていく。新たな視点や問題点が得られた場合には、最終的な応用を目指して、迅速に補足実験や再解析を行う予定である。
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