2012 Fiscal Year Annual Research Report
近赤外ラマン分光法による生体内ガス分子動態の可視化と腫瘍検出技術への応用
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22700476
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
塚田 孝祐 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (00351883)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | ラマン分光 / ガス分子 / 腫瘍 / 生体医工学 |
Research Abstract |
本研究は腫瘍や炎症で増大するガス分子である一酸化窒素や一酸化炭素を顕微ラマン分光を利用して検出し,画像化する新しい技術開発を行うことを目的とした.計画初年度に光学系の設計および精度検証を行い,近赤外領域で高感度にラマン散乱光を取得するシステムを構築した.2年目にナノ秒時間ゲートシステムを用いることで高感度化を実現した.その結果,生体由来の自家蛍光を除去することによって高感度にラマン散乱を検出することに成功した.最終年度では培養細胞に実験応用した.具体的には低酸素によって腫瘍細胞が糖の取り込みを増加させることに着目し,時間的に変化する腫瘍細胞の培地中のグルコース濃度を定量することに成功した.特に安定同位体である13Cグルコースと12Cグルコースのラマンスペクトルの違いから,糖代謝速度を推定することが可能であり,腫瘍低酸素による糖代謝と,ミトコンドリア内ヘムタンパクに吸着して酸素代謝を制御するガス分子との関連を明らかにするツールとして応用可能であると考えられた.一方,腫瘍組織の分光計測に向けて動物実験モデルを作製し,腫瘍および周囲の正常組織の酸素分圧を二次元的に計測した結果,直径数ミリメートルの腫瘍でも内部が著しい低酸素を呈していることを明らかにした.この低酸素状態は細胞内で転写因子HIF-1を活性化し,iNOSやHO-1の転写が活性化されることにより,腫瘍内のガス分子動態に影響している可能性が示唆された.以上から新たに構築した近赤外ラマン分光装置は腫瘍低酸素に関連した糖代謝を計測するシステムとして応用可能である.また生体における低濃度のガス分子の計測には感度が不足している点が今後の課題としてあげられた.組織内ガス分布イメージングはマルチアナライザか励起レーザを二次元スキャンすることで可能になると思われた.
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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