2010 Fiscal Year Annual Research Report
腹膜線維症改善を目指したHGF&BMPー7遺伝子導入積層型中皮細胞シートの開発
Project/Area Number |
22700477
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
崎山 亮一 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (30408471)
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Keywords | 腹膜線維症 / HGF / 細胞シート / 再生医療 / 組織工学 / 腹膜傷害マウス / 遺伝子導入細胞 / BMP-7 |
Research Abstract |
腎不全患者の代替療法の腹膜透析は、長期使用により腹膜の線維化や肥厚の合併症が懸念される。この改善効果をもつ因子の一つと考えられるBMP-7遺伝子をヒト中皮細胞株に遺伝子導入するため、BMP-7遺伝子をpEF-DESTベクターに組み込み、大腸菌により大量生成を行なった。バンドサイズを確認した結果、pEF-DESTベクターに目的のBMP-7遺伝子が組み込まれているのが確認された。pEF-DESTベクターには、Blasticidin耐性遺伝子が組み込まれている。仮にBMP-7遺伝子が細胞に導入されると、その細胞は薬剤であるBlasticidinを加えても死することはない。そのため、今回の研究で用いるヒト中皮細胞株のBlasticidin耐性を培養培地にBlasticidinを0から10□g/mlの範囲で添加して測定した。その結果、ヒト中皮細胞株25%コンフルエントの状態では、Blasticidin濃度が4□g/ml以上で培養5日目ではほとんど全ての細胞が死していた。これに対し、2□g/mlでは細胞が2%ほど生存していた。一方、100%コンフルエントの状態では、培養5日目で4、6、8、10□g/mlでそれぞれ95、98、99、100%の細胞死が観察されたが、2□g/mlでは50%程度残っていた。播種濃度に依存するが、培養10日目で全ての細胞が死する濃度は、2□g/mlであった。今回の結果より、今後ヒト中皮細胞株にBlasticidinを用いてBMP-7遺伝子を導入できることが示された。今回、BMP-7遺伝子をpEF-DESTベクターに組み込んだことで、どの細胞にもBMP-7遺伝子が導入される可能性が示され、今後線維化疾患に対するBMP-7を用いた新規治療法として非常に重要な知見を得た。また、BMP-7遺伝子導入細胞を用いた腹膜肥厚の軽減が示されれば、腹膜透析の普及と医療保険の軽減にさらに効果的である。
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