2010 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚システムにおける非線形現象の解明とヒトに適応した補聴器開発への応用
Project/Area Number |
22700478
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
田中 慶太 東京電機大学, 理工学部, 助教 (10366403)
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Keywords | 生物・生体工学 / 脳・神経 |
Research Abstract |
本研究の目標は,多様な聴覚情報が精神活動にもたらす恩恵及び悪影響について脳科学の手法を用いて,その機序を解明し,次世代の高度情報環境に有用となる様々なシステムを実現するための基礎を築くことである.そのため精神活動を積極的に支援する情報技術を聴覚情報と脳生理学的の関係から検討する.具体的には,これまでの申請者の先行研究で確認した聴覚システムにおける非線形現象(確率共鳴現象)が,どこで発生しているか,または発生しやすい条件などを明確化にすることで,この現象を利用し,微弱な信号を増幅させることで音声認識システムの構築や補聴器の開発などへの応用を目指す. 本研究は,はじめに耳から振幅変調音,右耳から雑音を呈示し,脳磁界聴性定常応答に確率共鳴現象が確認されたことから,中枢神経系(特に聴覚皮質)にてこの現象が発生しているのではないかと報告した.次に,そのデータに対して複素コヒーレンス解析を用いて検討を行い,確率共鳴現象が中枢神経系で発生しているという結果を裏付けた. 一方,健常者と難聴者による比較検討を行うため,Severance Hospital (Yonsei Univ.)のグループと実験条件や被験者となる難聴者の条件等について打合せや聴覚刺激の作成などの実験の準備を行い,実際に予備実験をし,難聴者においても共鳴現象が見られる結果を得た.この結果は,確率共鳴現象を利用した補聴器などの生体応用への可能性を示唆した.
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Research Products
(7 results)