2010 Fiscal Year Annual Research Report
機能性高分子-siRNA結合体の創製とsiRNAデリバリーへの応用
Project/Area Number |
22700489
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮田 完二郎 東京大学, 大学院・医系研究科, 助教 (50436523)
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Keywords | siRNA / ドラッグデリバリー / 機能性高分子 |
Research Abstract |
本研究は、優れたsiRNAデリバリー用キャリアを開発するために、機能性高分子と複数のsiRNA分子から新規コンジュゲート体を構築し、その機能評価を行うことを目的とした。コンジュゲート体にすることで、1分子当たりの負電荷数が増大し、ポリカチオンとの間で安定なポリイオンコンプレックス(PIC)が調製され、かつ機能性高分子にpH応答性などを付与することで、PICの細胞内動態の制御も可能となる。 22年度は、基本的なコンジュゲート体としてポリアスパラギン酸(PAsp)の側鎖にジスルフィド(SS)結合を介してsiRNAが導入されたPAsp(-SS-siRNA)を構築し、その機能評価を中心に行った。SS結合は、細胞内還元環境では切断すると考えられることから、PAsp(-SS-siRNA)とポリカチオンから成るPICは、細胞外では安定であるが、細胞内に取り込まれるとsiRNAを放出するものと期待される。 実際に、重合度約100のPAspを用いてPAsp(-SS-siRNA)を合成したところ、PAsp(-SS-siRNA)1分子当たりsiRNA4分子が導入されることを確認した。そして、側鎖にジエチレントリアミン構造を有するカチオン性ポリアスパラギン誘導体PAsp(DET)との間でPICを調製し、その安定性およびsiRNAデリバリー効率を評価した。結果として、通常のsiRNAとPAsp(DET)から成るPICは血清培地中で速やかに解離したが、PAsp(-SS-siRNA)から成るPICは同条件では解離しなかった。一方、還元剤を用いた擬似的な細胞内還元環境では、PAsp(-SS-siRNA)のPICからのsiRNA放出が確認された。さらに、培養細胞実験では、PAsp(-SS-siRNA)を用いることで、PICの細胞内取り込みが大幅に増大し、有意なRNA干渉効果を惹起することが確認された。
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