2011 Fiscal Year Annual Research Report
機能性高分子-siRNA結合体の創製とsiRNAデリバリーへの応用
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22700489
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮田 完二郎 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (50436523)
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Keywords | siRNA / ドラッグデリバリー / 機能性高分子 |
Research Abstract |
本研究は、siRNAデリバリー用担体の開発に向け、機能性高分子とsiRNA分子から新規結合体を創製し、その機能評価を行うことを目的とした。結合体を調製することで、siRNAの酵素分解が抑制され、またポリカチオンとの間で安定な複合体(ポリイオンコンプレックス)が調製される。加えて、機能性高分子にsiRNAの細胞内動態を制御させることも可能である。結果として、効率の良いsiRNAデリバリーが実現するものと期待される。 22年度までの検討より、ポリアスパラギン酸(PAsp)の側鎖にジスルフィド(SS)結合を介してsiRNAが導入されたPAsp(-ss-siRNA)は、培養細胞への効率の良いsiRNA導入を可能とすることが確認された。 そこで23年度は、PAsp(-ss-siRNA)を動物実験へと展開した。まず、全身投与後の体内動態(血中滞留性および臓器分布)を確認するために、Cy5により標識されたPAsp(-SS-siRNA)を調製した。次に、複合体を調製するためのポリカチオンとして、ポリエチレングリコールとポリリシン(PEG-PLys)のブロック共重合体を合成した。種々の分子量を有するPEG-PLysとCy5標識PAsp(-SS-siRNA)から複合体を調製してマウス尾静脈より投与したところ、複合体の血中滞留性は、その成分組成に応じて大きく異なることが明らかになった。未修飾のsiRNAから成る複合体と比べ、PAsp(-ss-siRNA)から成る複合体は有意に高い血中滞留性を示した。さらに、PAsp(-ss-siRNA)から成る複合体同士の比較では、PEGの分子量が21000、PLysの重合度が40のPEG-PLysを用いた時に最も高い血中滞留性が得られた。一方、脾臓等への集積はほとんど見られなかったことから、細網内皮系による捕捉は抑えられていることも明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通り、プロトタイプの機能性高分子-siRNA結合体の動物実験による機能評価行い、ポジティブな結果を得ることができた。また、エンドソーム膜を不安定化させる機能性高分子とsiRNAの結合体についても合成に成功した。よって、おおむね計画通りに進展したものと判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、プロトタイプのsiRNA結合体および新たに合成されたsiRNA結合体を用いて、本格的な動物実験を展開する。具体的には、siRNAの血中滞留性や臓器分布に関する評価を詳細に行ったうえで、皮下移植がんモデルに対する治療効果を検証する。
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Research Products
(6 results)