2010 Fiscal Year Annual Research Report
感染バリア組織におけるナノマテリアルの動態とそれに対する免疫応答の可視化
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22700491
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤井 文彦 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任助教 (40374657)
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Keywords | ナノマテリアル / 免疫応答 / バイオイメージング |
Research Abstract |
本研究では、表面電荷などの化学的な性質のみならず、粒径や形状などの物理的性質を変化させたナノマテリアルを系統的に作製し、それらが感染バリア組織に対してどのような経路をたどって生体に浸透していくのか、どのような免疫反応を引き起こすのかを蛍光イメージング技術を用いて可視化し、ナノマテリアルと生体との相互作用を明らかにすることを目的としている。本年度は、棒状の半導体ナノ結晶を作製し、その特性評価を行なった。球状の量子ドット(QD:Quantum dot)の作製時とは異なる反応リガンドを用いることによって、コアの周りにシェル構造を一定方向に伸長させた量子ロッド(QR:Quantum rod)を作製した。例えば596nmに蛍光ピークをもつQRをTEMで観察したところ、幅は平均4nm、長さは50nmであり、ARは13だった。球状ナノ粒子とこの棒状のナノ粒子と使用することによって、形状の差による生体組織への浸透性の違いを検討することができる。シェル構造を形成する際の反応時間をコントロールすることによって、QRの長軸方向の長さのみを大きく変化させることができた。長さの変化にともなって蛍光波長が変化するため、長さの異なるQRの生体への浸透性の違いを多色イメージングで分離描写することが可能である。1粒子偏光測定が可能な光学系を組み多数のQRを測定してみたところ、偏光度は平均して0.63だった。 生体組織中で偏光測定を行うことによって、浸透過程のQRの方向すなわち回転運動を可視化するのに十分な偏光度をもっていた。QRを作製する際のシェルの伸長過程において、蛍光波長が長波長側にシフトすると同時に吸収端は短波長側にシフトし、ストークスシフトは100nm以上となった。この特性は、蛍光体を高濃度でパックした際に生じる自己消光の問題を解決し、高輝度の生体深部イメージング用蛍光ナノ粒子を作製できる。
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