2011 Fiscal Year Annual Research Report
感染バリア組織におけるナノマテリアルの動態とそれに対する免疫応答の可視化
Project/Area Number |
22700491
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤井 文彦 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任助教 (40374657)
|
Keywords | ナノマテリアル / 免疫応答 / バイオイメージング |
Research Abstract |
本研究では、物理的性質を変化させたナノマテリアルを系統的に作製し、感染バリア組織内での動態と免疫応答を蛍光イメージング技術を用いて可視化することを目的とした。まず、半導体ナノ結晶に基づいて、(1)回転情報を知るための量子ロッド(Quantum rod: QR)、(2)粒子径をコントロールしたナノ粒子(Silica coated nanoparticle: Si-NP)、(3)生体深部での追跡を可能とする超高輝度ナノ粒子(Ultrablight nanoparticle: UB-NP)を作製した。(1)のQRは、幅は平均4nm、長さは50nmであり、偏光度は平均0.6だった。水溶化した場合も量子収率は48%に維持され、蛍光プローブとして十分使用できるものだった。棒状であるため、形状に依存した組織への浸透も合わせて検討することができる。(2)のSi-NPは、粒子径を10nmステップで制御することができた。95%以上が1つのQDのみを内包していることから、組織内での数を蛍光強度から定量化できた。様々な官能基が付いたシランカップリング剤を使用できるため、表面電荷に依存した組織への浸透も合わせて検討できる。(3)のUB-NPは、単体QDの約1500倍の輝度をもつことが分かった。これにより、光散乱の影響が極めて高い組織深部でのナノ粒子の追跡が可能となる。以上のナノマテリアルを作製した後、1例として免疫細胞の膜上受容体の1種であるCD36をQRで標識し、回転および3次元運動を同時観察した。QRを受容体に特異的に結合させるために、クロスリンカーを用いてQR表面に抗体を付加し、エンドソーム内に取り込まれたCD36の細胞質への移動、あるいは細胞膜表面上で回転運動する受容体の動きを可視化した。本研究で開発した技術を、より深部の観察法に拡張することによって、今後はより独創的な観察法に発展させることができる。
|